『終わらない夢の果てに』
カイザリア帝国 エンハンブレ街道 ステラ港とカイザリアの帝都を結ぶエンハンブレ街道。 その名は古代大陸語で「星くず」を意味するという。 「星の港」ステラ港。そしてそれを結ぶ「星くず街道」。 誰がこの名を付けたのか、その歴史は現代まで伝わっていない――。 |
「奴は、どっちに向かっている?」
「あっちの方向よ、青銀色をした奇妙な長い建物の見える。」
「奴は、ネルクスの塔を目指しているとでもいうのか?」
「塔?なにそれ?」
「……かつて歴史上に存在した、ネルクスという名の暴君が作り上げた塔だ。
何のために建てられたのかはもはや誰も知らない。
そして、何故あのように斜めに傾いているのかも。」
「歴史に埋もれた遺産というわけね。」
「シルバニアの城壁を設計したのと同じ
リリエンタール兄弟が設計したとされる魔導金属の塔。
時代的にはこちらの方が若干古いことになる。」
「前者が魔導金属リルで出来ているのに対し、
後者の外壁は魔導金属シェナで出来ている。
だがどちらも現代魔導ですら生み出すことは不可能な規模だ。」
「あなた達の世界の現代魔導でも
解明できない技術が使われていると
いうこと?」
「そうなるのだろう。」
「現代世界の魔導……ね。
それに対するほんの僅かな奢りが、
全ての始まりだったのよね……。」
「どういう意味だ?」
「昔、学生だったころは月について、
ただ研究しているだけだったのにね。
いつの間にか知識の邂逅をしすぎたのよ、私は……。」
「学生?それって…………。」
「光の爆発!?
帝都の方角……いや、帝都からだ!
まさか、ゾロディエールが!?」
「ええ。恐らく滅ぼす気よ、彼は。」
「急ぐぞ!!! 間に合ってくれ……!!!」