『終わらない夢の果てに』
カイザリア帝国 壊滅帝都 そこには、既に首都としての面影はなかった。 家々は破壊され、ありとあらゆる物がくすぶる煙の中でただ瓦礫と化している。 西方の山の合間から差し込む夕日がその廃墟を紅く染め上げ、よりいっそう破壊の痕跡を目だたせている。 |
「なんて有様なの……。
建物という建物が全て破壊されている。
それも無差別に。」
「……これが奴らのやり方なのか?」
「違うわ。
少なくとも私の知っているゾロディエールは、
こんな乱暴なやり方をするはずがないわ。」
「! 声よ! うめき声がするわっ!!!」
「……下か!?」
「ううっ……」
「おい、大丈夫かっ!」
「……誰…………?」
「誰でもいい。怪我は……!」
「あの子たちは……どこ……
グランとグリフィスは……
見えない……見えないの…………」
「!
じっとしてろ!
頭部からの出血が激しい!」
「…………ごめんなさい……姉さん……」
「!」
「…………事切れたようね。
誰かが止めない限り、彼は繰り返すわ――この破壊を。
そろそろ決断する時じゃないかしら、ジェラード。」
「!!!」
「貴方にはその意味が分かっているはずよ。」
「………………。」
「その自信の裏付けを、見せる時が来ているのよ。」
「……こいつの、か?」
「そうよ。
そろそろ貴方のその奇妙な武器を、
使う時が迫っているはず。」
「………………。」
「!!!」
「光の爆発っ!? 塔の方角からだ!」
「ゾロディエール!
……爆発で塔が無傷なのに驚いている。
でも吹き飛ばした地面の下に入り口を見つけて、
塔の中に入ろうとしているわ。」
「待て、なぜ煙の向こう側が見える、アートレーゼ!?」
「……千里眼よ。
遠くの景色を僅かな理力の流れから読みとり、視界変換する。
魔力を介さず理力だけでできる技の一つ。
あなた達の世界にもそういう遺伝を持った人間がどこかにいるはずよ。」
「……とにかく、
ゾロディエールが塔の中を目指しているのなら話は早い!
追うぞ!」
「ジェラード!!!」