Forbidden Palace Library #00 「失われた7枚」シリーズ 外伝

『終わらない夢の果てに』




カイザリア帝国
壊滅帝都


そこには、既に首都としての面影はなかった。
家々は破壊され、ありとあらゆる物がくすぶる煙の中でただ瓦礫と化している。
西方の山の合間から差し込む夕日がその廃墟を紅く染め上げ、よりいっそう破壊の痕跡を目だたせている。

アートレーゼ 「なんて有様なの……。
 建物という建物が全て破壊されている。
 それも無差別に。」

ジェラード 「……これが奴らのやり方なのか?」

アートレーゼ 「違うわ。
 少なくとも私の知っているゾロディエールは、
 こんな乱暴なやり方をするはずがないわ。」


…………ううっ


アートレーゼ 「! 声よ! うめき声がするわっ!!!」

ジェラード 「……下か!?」


がばっ


ロザリア 「ううっ……」

ジェラード 「おい、大丈夫かっ!」

ロザリア 「……誰…………?」

ジェラード 「誰でもいい。怪我は……!」

ロザリア 「あの子たちは……どこ……
 グランとグリフィスは……
 見えない……見えないの…………」

ジェラード 「!
 じっとしてろ!
 頭部からの出血が激しい!」

ロザリア 「…………ごめんなさい……姉さん……」


かくん


ジェラード 「!」

アートレーゼ 「…………事切れたようね。
 誰かが止めない限り、彼は繰り返すわ――この破壊を。
 そろそろ決断する時じゃないかしら、ジェラード。」

ジェラード 「!!!」

アートレーゼ 「貴方にはその意味が分かっているはずよ。」

ジェラード 「………………。」

アートレーゼ 「その自信の裏付けを、見せる時が来ているのよ。」

ジェラード 「……こいつの、か?」


ちゃきーん


アートレーゼ 「そうよ。
 そろそろ貴方のその奇妙な武器を、
 使う時が迫っているはず。」

ジェラード 「………………。」


どごぉおおおん


アートレーゼ 「!!!」

ジェラード 「光の爆発っ!? 塔の方角からだ!」

アートレーゼ 「ゾロディエール!
 ……爆発で塔が無傷なのに驚いている。
 でも吹き飛ばした地面の下に入り口を見つけて、
 塔の中に入ろうとしているわ。」

ジェラード 「待て、なぜ煙の向こう側が見える、アートレーゼ!?」

アートレーゼ 「……千里眼よ。
 遠くの景色を僅かな理力の流れから読みとり、視界変換する。
 魔力を介さず理力だけでできる技の一つ。
 あなた達の世界にもそういう遺伝を持った人間がどこかにいるはずよ。」

ジェラード 「……とにかく、
 ゾロディエールが塔の中を目指しているのなら話は早い!
 追うぞ!」


だだだだだっ


アートレーゼ 「ジェラード!!!」


▽ ……。



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