ようこそ、禁断の宮殿へ
WELCOME TO FORBIDDEN PALACE
そしてまたある時は「悲しみの宮殿」と呼ばれる。
ある旅人はこう語る。
疲れた心を癒してくれる場所だと。
またある旅人はこう語る。
全ての悲しみを受け入れてくれる場所だと。
だが
この宮殿が何のために造られたのか
真実を知る者は
もはや誰一人としていない。
「ここは……」
「ようこそ、禁断の宮殿へ。
私は執事のラッセルと申します。
あいにくご主人様は留守にしていますが……。」
「ここに、知識はあるのか?」
「はい。
ありとあらゆる知識、というわけには参りませんが、
滅び埋もれた世界から収集した知識ならごまんと。」
「人間の体内から魔力を除去する方法が知りたい。
……わかるか?」
「青くなった肌と髪を元の色に戻したい、
そういうわけですね?
肌の色に関しては、間違いなく元に戻すことが出来ます。」
「!!!」
「ですが――残念ながら 体内から魔力を除去しても
髪の色だけは元に戻すことが出来ない場合があります。
それでもよろしいですか?」
「ちょっと待ってくれ、
俺様は『青い髪を戻す』など一言も言っていないぞ!?
何故そんなことまでわかるのだっ!?」
「かつて、私もご主人様もそういう世界にいましたから。」
「!?……その青い髪……まさかお前……!?」
「……あ、
ちょっと喋りすぎたようですね。
それともう一つ。」
「なんだ?」
「もしも髪の色が戻らな……いえ、髪の色が元に戻ってしまった場合、
成長はかつて人間だった年齢から再開され、
寿命は人間同様短くなってしまいますが、それでもよろしいですか?」
「――――ああ、それでも構わない。」
「かしこまりました。
では早速ご案内致しましょう。」
どうぞ、こちらへ――と、その前に。」
「???」
「最後にもう一つだけ、お伺いしてもよろしいですか?」
「ああ。」
「見たところ、貴方自身は魔力の影響を全然被っていないようです。
それでも貴方は知識が欲しいと仰る。
――それは、貴方にとってとても大事なことですか?」
「………………そうだ。」
「何よりも?」
「――何よりも。」
「例えそこに、試練が待ち受けていても?」
「――ああ。」
「……わかりました。
では、ついてきてください。
ご案内しましょう――禁断の知識が待つ、試練の入り口へと。」
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