Forbidden Palace Library #W01 『真実の継承者(前編)』

『真実の継承者(前編)』




シルバニア公国
メーヴェルヴァーゲン街道



ブランドブレイ王国とシルバニア公国を結ぶ重要な街道の一つ、メーヴェルヴァーゲン街道。
海と森の間を抜けるように、若干のカーブと共に南北に延びている。

開拓時代に移民達が踏み固めたとも言われているこの街道、あちこちで石畳による舗装工事が着々と進められている。
だが、それはまだほんの一部の区間であり、大部分は未舗装のまま残された状態になっている。

マリー 「ねぇ、ウィル、私たちエンディルに勝利したのよねっ!
 これで、もう戦う必要もなくなっ……ウィル?
 いないの?ウィル?」

ウィリアム 「来るな……マリー……っ!!!」

マリー 「!!! ウィルっ!?
 その体っ!?ど、どうして灰になっていくの!?
 セディさんはっ!?ねぇ、何があったのっ!?」

ウィリアム 「……マリー、すまない……」

マリー 「ウィル?ねえ、一体何があったのよっ!?」

ウィリアム 「この戦いが終わったら……俺はセリフォスに……お前を連れて帰るつもりだった。
 でも、そいつは無理そうだ……もう体が……言うことをきかねぇ……。
 せっかく……お前と……出会えたのに……。」

マリー 「ウィル!?
 ねぇ、何があったのよ?
 ねえねぇ、何が起こったの!?」

ウィリアム 「マリー……一つだけ頼み事がある。
 セリフォス島にいるじっちゃんに……俺の祖父に伝えてくれ。
 『本は実在した』と……。」

マリー 「……ねぇ、ウィル?嘘、よね?ねぇ、ねぇってばっ!」

ウィリアム 「……愛してる、マリー……」

マリー 「ウィルっ!? ウィルっ!!!」


………………。

マリー 「……ウィルゥゥゥゥゥっ!!!!!」


▽そして、300年後。



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