『真実の継承者(前編)』
シルバニア公国 メーヴェルヴァーゲン街道 ブランドブレイ王国とシルバニア公国を結ぶ重要な街道の一つ、メーヴェルヴァーゲン街道。 海と森の間を抜けるように、若干のカーブと共に南北に延びている。 開拓時代に移民達が踏み固めたとも言われているこの街道、あちこちで石畳による舗装工事が着々と進められている。 だが、それはまだほんの一部の区間であり、大部分は未舗装のまま残された状態になっている。 |
「ねぇ、ウィル、私たちエンディルに勝利したのよねっ!
これで、もう戦う必要もなくなっ……ウィル?
いないの?ウィル?」
「来るな……マリー……っ!!!」
「!!! ウィルっ!?
その体っ!?ど、どうして灰になっていくの!?
セディさんはっ!?ねぇ、何があったのっ!?」
「……マリー、すまない……」
「ウィル?ねえ、一体何があったのよっ!?」
「この戦いが終わったら……俺はセリフォスに……お前を連れて帰るつもりだった。
でも、そいつは無理そうだ……もう体が……言うことをきかねぇ……。
せっかく……お前と……出会えたのに……。」
「ウィル!?
ねぇ、何があったのよ?
ねえねぇ、何が起こったの!?」
「マリー……一つだけ頼み事がある。
セリフォス島にいるじっちゃんに……俺の祖父に伝えてくれ。
『本は実在した』と……。」
「……ねぇ、ウィル?嘘、よね?ねぇ、ねぇってばっ!」
「……愛してる、マリー……」
「ウィルっ!? ウィルっ!!!」
「……ウィルゥゥゥゥゥっ!!!!!」