『真実の継承者(後編)』
シルバニア王国 王城5階 女王寝室 白銀の都、シルバニア。 市街を取り囲む城壁がその色の輝きを持つ事から、こう呼ばれる。 その扇形の中心部には、同じく白銀に染められた王城がそびえている。 |
「Zzz……ん……。
……ふぁ……もう夜ですのね。
よく寝ましたわ。」
「…………静かにしてくれ。」
「!?
どなたですの?
誰か、そこにいるんですの?」
「レミティアーナ女王陛下ですね?
貴殿に危害を加えるつもりはない。
案内してほしい場所があるだけだ。そこまで連れていって欲しい。」
「お手洗いでしたらそこの角を曲がって左ですわよ。」
「夜中に怖くてトイレに行けないわけじゃない。」
「夜這いはいけませんわ。もう一度よくお考えになって……」
「だからそうでもないっ!」
「貴方は一体どなたなんですの?」
「ウィルバー=アシスト。
王城本館3階作戦会議室の奥にある隠し部屋に案内してもらいたい。
俺の祖先が預けたままの物を引き取りに来た。」
「……アシスト家……セリフォス総合図書館の?」
「ああ、そのアシスト家の者だ。
正面から乗り込んでもどうせ衛兵に止められるのがオチだと思って
最初から忍び込ませて貰った。無礼は謝る。」
「アシスト家の……。
お話は300年前より代々聞き及んでおります。
わかりました。付いてきてください。」
「その前に一つ聞いていいか?
どうしてこの王城の玄関には誰もいないんだ?
それどころか階段の守衛も眠っていたけどよ。」
「??? きっと眠かったんですわ、みなさん。」
「……そういう問題なのか?」