『真実の継承者(後編)』
シルバニア王国 王城3階 作戦会議室 白銀の都、シルバニア。 市街を取り囲む城壁がその色の輝きを持つ事から、こう呼ばれる。 その扇形の中心部には、同じく白銀に染められた王城がそびえている。 |
「いたぞっ!賊は作戦会議室だっ!!!」
「!? 待て、話を聞いてくれ!」
「話?
今更何を聞くというのだ!
さっきも同じ様な台詞で時間を稼ぎおって!」
「さっき?何のことだ?」
「あくまで知らぬふりをするつもりか。
まぁよい。
こちらにもはや貴様の話など聞く耳はない。」
「だから知らねえんだってば!!!」
「!? 後ろからもっ!?」
「先ほどのように暗闇に紛れて逃げようとしたってそうはいかない。
最早貴様の後ろも袋のネズミだ。
いますぐに貴様の顔をしかと見届け牢獄に放り込むっ!」
「だから俺は逃げてなんか……」
「シェラン・リィ・フェリル
我が手中に一時の灯火をっ!
ライト!」
「うっ……まぶしい。」
「やっと顔が現れたか。
先ほどと雰囲気が違う気がするがまぁよい。
さぁ、図書館の隠し部屋から盗んだ物を返して貰おう!」
「図書館?隠し部屋?なんだそりゃ?」
「しらじらしいっ!
城内の衛兵を次々と昏睡させておいて
今更言い逃れをしようとは!」
「は? ち、ちょっと待てよ、
それは俺のせいじゃ……レミィ陛下!
何か言ってくれっ!」
「明るくなると……眠くなってしまいますの……Zzz」
「レミィ陛下ぁぁぁっ!」
「女王陛下まで昏睡させるとは……不届きものめっ!」
「違うっ!だから俺のせいじゃねぇっ!」
「問答無用っ!」
「ってうわっ!
エストックを振り回すなっ!
だからこっちに抵抗の意志はないっ!」
「ふんっ!
この期に及んで命乞いか!
女王陛下までも人質にとろうとした割には情けないなっ!」
「違う!!だからそうじゃないんだっ!」
「もはや魔導で言うことを聞かせる以外方法はないな。」
「ち、ちょっと待て、
俺は片手にどかした本棚の本を持ってるんだ!
両手の空いていない状態で魔導防御は……」
「フェレル・イ・シャスレイン
輝ける球よ、弾けろ!
シャイニングボール!」
「ぐはぁぁっ!……げほっ、げほっ。」
「そこまでだっ!
これ以上痛い目を見たくなかったら大人しくしろ。」
……よし、こいつを縛って連行するぞっ!」
「……げほっ……なんで俺が突然こんな目に……。」