『真実の継承者(後編)』
シルバニア王国 王城4階 謁見の間 白銀の都、シルバニア。 市街を取り囲む城壁がその色の輝きを持つ事から、こう呼ばれる。 その扇形の中心部には、同じく白銀に染められた王城がそびえている。 |
「……実はアシスト君が王城に来たのと同時刻、
何者かが図書館の隠し部屋に侵入してな。
しかも衛兵達を眠らせて。」
「だから俺が城内に入ったとき、衛兵達が寝ていたってわけか。」
「そこでたまたま
城内をうろついてたアシスト君を犯人と勘違いして
逮捕してしまったのだよ。」
「……なるほどな。確かにあの時の城内で真犯人の次に怪しいのは
間違いなく俺だっただろうからな。
それで、何が盗まれたんだ?」
「今晩、
お預かりしている物をアシストさんにお返しした時に
お答えいたしますわ。」
「それはどういう意味だ?」
「陛下がそう仰っているのだ、その通りにすればいい。」
「じゃあレナード、陛下の言うことはなんでも聞くのか?」
「無論。
家臣というのは君主に仕える者。
その命令は何でも聞く。」
「はなまるぅ。じゃあ一緒にはなまるぅ描きましょ?」
「そ、それは……。」
「言うこと聞くんだろ、レナード?」
「……誰がそんなことを言った?
家臣というのは国家に仕える者。
国にとって利益のあることのみ命令を聞く。」
「言ってること、さっきと逆じゃないのか?
それで、
図書館に侵入した賊の特徴とかは分かったのか?」
「暗闇で明確なことはよくわかっていなくてな。
だが一部の目撃情報によれば、
紫色の長い髪を持っていたという話も……。」
(……奴だ。
俺とほぼ同時にこの王都にたどり着いていたってわけか。
エンディルとの大戦が始まった今……やはり現れたか。)
「もうすぐ夜が明ける時刻だ。
兵員が起き出すと共に町中を一斉捜索させるとしよう。
……既に町から出てしまった可能性も高いが……。」
「夜明け……まぶしい朝日ですわ。
ふぁ……だんだん眠くなって……
Zzz。」
「寝るなよこんなところで。しかもはなまる描きながら。」
「はなまるぅ、ですわぁ……Zzz。」