Forbidden Palace Library #W01 『真実の継承者(後編)』

『真実の継承者(後編)』




シルバニア王国
王城3階 作戦会議室



白銀の都、シルバニア。
市街を取り囲む城壁がその色の輝きを持つ事から、こう呼ばれる。

その扇形の中心部には、同じく白銀に染められた王城がそびえている。


そして、その晩。


レナード 「作戦会議室? ここに何があるというのだ?
 ……おい、アシスト。 ボイス副将軍がいないからといって、
 その机の上のミルククッキーは食べない方がいいぞ。」

ウィルバー 「え?……あ、ダメなのか?」

レナード 「命が惜しければ、の話だが。」

ウィルバー 「わかった。2年ぐらいは心に留めておくよ。」

レナード 「やけに半端な年数だな。」

ウィルバー 「それよりレナード、
 俺が今から合図をする。
 1、2、3で一緒に本棚の奥のスイッチを押してくれ。」

レナード 「スイッチ……ああ、この小さなでっぱりだな?」

ウィルバー 「いくぞ、1、2、3!」


がこんっ!



ぎぃぃぃぃぃぃ


レナード 「……本棚の奥に……隠し通路だと?」

ラグランジュ 「これは、驚きだ。
 どうやら建築当初から意図を持って
 設計されていた様子だな。」

レナード 「もしかして、この部屋を守るために、その理由のために
 作戦会議室がここに設置されたというのか?
 強者の集まるこの部屋を関門とするために……?」

レミィ陛下 「はなまるぅ。」

レナード 「そうすれば外部からの侵入者に対して安全というわけか。」

レミィ陛下 「はなまるぅ、はなまるぅ。」

レナード 「いや、頭撫でられても困るんだが。」

レミィ陛下 「じゃあペンで描いて差し上げますわ、はなまるぅ。」

レナード 「遠慮しておく。」

レミィ陛下 「ペンがいやなのでしたらチョークでも構いませんわ。」

レナード 「もっと遠慮しておく。」

ラグランジュ 「それでアシスト君、君の祖先は一体何をここに隠したんだね?」

ウィルバー 「これだ。この紙だ。」

ラグランジュ 「古びた一枚の紙切れ、たったこの一枚を?」

ウィルバー 「ああ。 300年前の戦争の最中に隠された機密文書だ。」

レナード 「こんなものの為にわざわざ隠し部屋を一つ使って?」

ウィルバー 「だがこれにはそれだけの価値がある。」

ラグランジュ 「価値 それはどういう意味だね、アシスト君?」

ウィルバー 「この紙は人目に触れるよりも遙かに長い間眠り続けてきた。
 今の魔導文明が興るよりも遙か昔に書かれ、
 そのまま時の流れに忘れ去られようとしていた知識。」

レナード 「それでその紙はなんなんだ?」

ウィルバー 「魔導、原本。」


▽……。



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