Forbidden Palace Library #W01 『真実の継承者(後編)』

『真実の継承者(後編)』




シルバニア王国
城壁



魔導金属リルの白色をそのまま残した城壁。
王都全てを囲うこの高い壁は、人々の安心の拠り所となっていた。少なくとも大戦前までは。

しかし戦火が近づくにつれ、人々はこの城壁を見るたび不安を抱くようになっていた。
いままで実戦に一度も使われたことのないこの城壁の信頼性に……。

エリーゼ 「早く城壁の中に入ってくださいっ!!!」

ウィルバー 「!?」

レナード 「エリーゼ=ラントシュタイナー城壁守備隊長!」

エリーゼ 「早く、もうエンディルが転移してくるのも時間の問題ですっ!」

レナード 「ああ!」


だだだだだっ


レナード 「アシストっ! 早く来いっ!!!」

ウィルバー 「…………。」

レナード 「アシストっ!!!」

ウィルバー 「俺が、くい止める。」

レナード 「なんだと?」

ウィルバー 「ここは俺がくい止める。先に行っててくれ。」

レナード 「無茶を言うなっ!!!」

ラグランジュ 「アシスト君! 早く城壁の中に入りたまえ!」

ウィルバー 「……ラグランジュ師団長代理。
 時には、例え命を懸けてでも守らなくてはならないものもあるって
 この間俺に言ったよな?」

ラグランジュ 「!」

ウィルバー 「俺にとって今がその時なんだ。」

エリーゼ 「!!」

ウィルバー 「…………。
 エリーゼ=ラントシュタイナー城壁守備隊長。
 この城壁には奴らを一歩たりとも近づけさせねぇ。」

エリーゼ 「ですが!」

ウィルバー 「いいから! 俺の言うことを、聞いてくれ。」

エリーゼ 「……しかし!」

ラグランジュ 「ラントシュタイナー君。彼の言うとおりにしてあげなさい。」

エリーゼ 「ラグランジュ師団長代理……かしこまりました。」

ラグランジュ 「アシスト君……死ぬなよ。」

ウィルバー 「ああ。
 俺は、必ず生きて帰る。
 ……必ず!」

エリーゼ 「アシストさん……。」


▽……。



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