Forbidden Palace Library #W01 『真実の継承者(後編)』

『真実の継承者(後編)』




シルバニア王国
シルバニアの森



王都の周囲に果てしなく広がる大森林。
この森は国名と同じく『シルバニア』の名を冠している。

もっとも国名が先か森の名が先か、その真実については伝承されていないが。

ウィルバー (出てくる。森の中から出てくる……。)


がさがさっ

ゼルイリアス 「へぇ、驚いたな。待ち伏せがいるとは思いも寄らなかったな。」

ウィルバー 「エンディル軍を王都の南に配置し、指導者本人は北から攻めていく。
 目的は王都の中に入り込み、内側から城壁を破壊すること。
 ……おおかたそんなところなんだろ?」

ゼルイリアス 「俺の作戦を見破った奴がいたとはな。予想外だ。」

ウィルバー 「300年前と、同じパターンだからな。」

ゼルイリアス 「歴史から未来を読み取る、か。
 なるほど、なかなか鋭い洞察を持っている。
 ……お前になら今一度、
 問いただす価値はあるかもしれんな。」

ウィルバー 「問いただす?」

セディ 「ふっ。貴様らエンディルと話す必要などどこにもない。」

ゼルイリアス 「!!!」

ウィルバー 「やはり現れたか、セディ。」

セディ 「ふっ……私のことを知っているとはな。
 どこかで前にあったことがあったか?
 すまないが私の記憶にはないのだがな。」

ウィルバー 「……ゼルイリアス、一時休戦だ。」

ゼルイリアス 「!?」

セディ 「!!!」

ウィルバー 「先にこの男を、セディを倒すのが先だ。」

セディ 「!? 何を言っている?」

ゼルイリアス 「……仲間割れても起こす気か?」

ウィルバー 「まさか伝説の人物が、
 それもこの大陸に魔導を運んできた張本人が
 まだ生きているとは、な。」

セディ 「……ふっ。何のことだ?」

ウィルバー 「とぼけても無駄だぜ、セディ=ラザフォード。
 ……いや。
 ラファエル王国宰相エルネストっ!」

セディ 「貴様、何を知っているというのだ?」

ウィルバー 「千年以上の歳月を生き抜いて、
 自らの理想郷を作り上げるためにこの大陸に魔導を運び、
 そしてその邪魔となる者を排斥してきた。」

ゼルイリアス 「あの宮殿の主の肉体を乗っ取ったが故に手に入れた永き寿命か。」

セディ 「……ふっ、なるほど。
 とすると貴様はウィリアム=アシストの子孫というわけか。
 まだ血が絶えずに生きていたとはな。」

ウィルバー 「どうやら覚えていてくれたようだな、その名前を。
 俺は今日というこの日のために魔導の修行を積んできた。
 エルネスト、俺はお前を絶対に許さない!!!」

セディ 「ふっ。たかが祖先の為に命を捨てるとは。」

ウィルバー 「……これは祖先の仇討ちなんかじゃない。 俺の敵討ちだ!」


▽……。



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