『真実の継承者(後編)』
シルバニア王国 シルバニアの森 王都の周囲に果てしなく広がる大森林。 この森は国名と同じく『シルバニア』の名を冠している。 もっとも国名が先か森の名が先か、その真実については伝承されていないが。 |
「まさかウィリアム!
貴様、記憶を持ったまま転生したというのか!?
何故そんなことができるっ!? まさか原本っ!?」
「ああ、その通りだ。
俺は今日というこの日のために魔導の修行を積んできた。
目的はただ一つ、お前を倒すためにな!」
「……ユメル・ヴァイス・ガーディエル
煌々たる炎よ 己が力を解放し破裂せよ!
イクスプロージョンっ!!!」
「ぐっ!……貴様、何故貴様如きがその魔導を……!?
ウェル・イェアン・セレル
大地を離れろ我が足 レビテーションっ!」
「……宙に逃げ威力を軽減したか!」
「ふっ。
それのみならず、
上空からの方が魔導の狙いは定めやすいからな。」
「!」
「シャラン・リィ・エリウクセス
さやかなる輝きよ、散れ!
シャイニングダスト!!!」
「!? 無数の光の粒を同時に飛ばしたっ!?」
「ほぅ、ぎりぎりのところで理力障壁を築き防いだか。」
「イ・セイラ・シェレネ
風の翼、空の羽根、いざ我らにつき従え。
エアーフライト!」
「メレルラン・リ・ネ・レ
風よ、渦となりて全てを切り裂けっ!
トルネードっ!!!!」
「ぐぁあああっ!?」
「ふっ。貴様の飛翔魔導は風に頼るゆえ、気流が乱れれば逆効果となる。
だが私の用いたレビテーションは重力に主軸を置いている。
やはり貴様如き存在が私にかなうわけがあるまい。」
「……まだだ。 まだ戦いは終わっちゃいねぇっ!!!」
「ふっ。今のでよくても全身打撲は免れないはずだ。
下手をすると骨の数本は骨折しているだろう。
おとなしくしていれば楽に殺してやるのだが……。」
「俺はここで敗れるわけにはいかねぇんだっ!
クエル・ウェル・イェーレル 大地よ引け万物を
グラヴィティ!!!」
「!!!」
「…………貴……様……ぐはぁっ。」
「相手が重力へ相対的に制御を置いているのを利用したのか。」
「思い知れ、俺が味わった苦しみを!」
「………………。」
「もう聞こえていないのか?」
「………………。」
「どうやら仲間割れは終わったみたいだな。」