Forbidden Palace Library #W01 『真実の継承者(後編)』

『真実の継承者(後編)』




シルバニア王国
シルバニアの森



王都の周囲に果てしなく広がる大森林。
この森は国名と同じく『シルバニア』の名を冠している。

もっとも国名が先か森の名が先か、その真実については伝承されていないが。

ゼルイリアス 「はっ!!!」


シュッ!


ウィルバー 「!!! 早いっ!」

ゼルイリアス 「俺の槍さばきをなめるなよ! はっ!」


シュッ シュッ!


ウィルバー 「くっ!」


だだだだだっ


ゼルイリアス 「間合いを離したか。だがそこからどうやって攻撃する気だ?」

ウィルバー 「…………。」

ゼルイリアス 「それとも立ち止まったまま覚悟でも決めたのか?」

ウィルバー 「来いよ、ゼルイリアス!」

ゼルイリアス 「……はっ!!!」


だだだだだだっ


ウィルバー 「西星ロウクスよ、我に力を!」

ゼルイリアス 「!」

ウィルバー……ガレス・ディ・ゼクトゥレス
 凝縮せし風よ 欠けろ!
 スチームイクスプロージョン!!!


どっごぉぉぉぉぉん


ゼルイリアス 「がはぁぁぁっ!」

ウィルバー 「……ぐっ……。」

ゼルイリアス 「月ではなく星の魔力を借り、
 そして至近距離での爆発……
 なるほど、
 その鎧は自分への被害を食い止めるための鎧、か。」

ウィルバー 「ああ、そういうこった。
 一歩間違えば首を落とされているところだったが、
 人間じゃねぇお前に勝つにはこれしか手段がなかったからな。」

ゼルイリアス 「まさか我が、自らを守るために腕を一本傷つけることになってしまうとはな……」

ウィルバー 「…………。」

ゼルイリアス 「人間にここまでやられるとは正直思っても見なかったよ。
 ……二度も俺を負かすとはな。
 仕方ない。
 今回もまた引き上げるしかねぇな。」

ウィルバー 「ゼルイリアス…………。」

ゼルイリアス 「俺を負かしたんだ、
 はっきりと教えてやるよ。
 いまより300年後、再び世界の扉が開くとき
 我らは再び訪れる。」

ウィルバー 「また滅ぼしに来るのか?」

ゼルイリアス 「勘違いするな。
 人間に恨みはない、
 魔導文明を滅ぼしに来るだけだと。
 ……俺達だって昔は人間だったのだからな。」

ウィルバー 「!? なんだって?」

ゼルイリアス 「終焉を迎えたか、そしてそれを乗り越えたかの違いがあるだけだ。」

ウィルバー 「……エンディル、お前達は何者なんだっ!?」

ゼルイリアス 「エンディル……終焉の者達。」

ウィルバー 「!? どういう意味だっ!?」

ゼルイリアス 「答え合わせは更に300年後だ。
 それまでに考えておくがいい。
 次は我らが王バルセザリアール様と共に来る。
 さらばだ、賢き青年よ。」

ウィルバー 「まて、ゼルイリアス!」

ゼルイリアス

「XI DEXI... FE KVWE... !」




しゅんっ!


ウィルバー 「消えた……これで、全てが終わったのか?」


▽……。



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