Forbidden Palace Library #W01 『真実の継承者(後編)』

『真実の継承者(後編)』




シルバニア王国
シルバニアの森



王都の周囲に果てしなく広がる大森林。
この森は国名と同じく『シルバニア』の名を冠している。

もっとも国名が先か森の名が先か、その真実については伝承されていないが。

ウィルバー 「エルネスト。てめえが探しているのはこれだったな?」


がさがさっ


セディ 「!? その紙切れは……!!!」

ウィルバー 「『魔導原本』。
 伝説ではそう呼ばれている古の魔術書。
 そう、魔導原理を物理法則で解明した世界最初の研究ノート。」

セディ 「渡せ、その紙を!」

ウィルバー 「……欲しけりゃやるよ。ほらよ。」


ひらひらひらっ


セディ 「!!! 風に流されるっ!?」


だだだだだっ



はしっ!


セディ 「ふっ!
 手に入れたぞっ! ついに手に入れたぞっ!
 ようやくこれで7枚全てが私の手の中にっ……!!!」

ウィルバー 「……しっかりと、その手を離すなよ。」

セディ 「ふっ。貴様に言われなくとも!!!」

ウィルバー 「ああ、絶対に離すなよ。
 両手を空けて魔導防御が出来ないように、な!
 ……アウ・クレイスト・リ・ハリアス

セディ 「!! まさか貴様、その魔導はっ!!!」

ウィルバー 「そうだ。
 300年前、てめぇが俺を殺したのと同じ魔導だっ!
 ……儚き肉塊よ砂塵へ帰れ!

セディ 「やめろっ!!!」

ウィルバーディスインテグレート!

セディ 「貴様ぁぁぁぁっ!!!」


サァァァァァァァァッ


ウィルバー 「消えろ。魔導原本ごと、な。」

セディ 「紙が……体が……透けて行く……。
 このノートは我が師から……私に継承されるべきもの……。
 ……セドリック……先生の……」

セディ 「ノートが……砂塵に……私はまだ……理想郷を…………」

セディ 「……ノ……エ……ル…………」


………………。


ウィルバー 「俺だけじゃない。
 今までその理想郷のために殺された人々の仇だ。
 だから眠ってくれ、安らかに。」


▽……。



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