Forbidden Palace Library #W01 『真実の継承者(後編)』

『真実の継承者(後編)』




シルバニア王国
王城3階 作戦会議室



白銀の都、シルバニア。
市街を取り囲む城壁がその色の輝きを持つ事から、こう呼ばれる。

その扇形の中心部には、同じく白銀に染められた王城がそびえている。


一週間後。


ウィルバー 「え?軍を辞めるって……退役するのか?」

ラグランジュ 「アシスト君、言ってあったよね?
 俺は臨時師団長だと。
 だから戦が終わった今、俺の役目も同時に終わった。」

ウィルバー 「……じゃあこの後、どうするんだ?」

ラグランジュ 「どうしようかねぇ。
 ま、しばらくは家族と一緒に過ごす事にするよ。
 家には愛しい妻と二人の娘がいることだし。」

ラグランジュ 「娘というのが二人とも花の名前を持っていてね。
 まぁ昔からうちの家に代々伝わる慣習っていうのもあるんだが、
 二人とも花の名前とはあまり似つかぬ性格で……。」

ウィルバー 「いや、家族の話は後で聞かせて貰うとして、第5師団のことだ。
 誰が師団長に就任するんだ?
 ただでさえ人材不足なんだろ?」

ラグランジュ 「英雄がいるじゃないか、この街を影から守った若者が。」

ウィルバー 「…………は?」

ラグランジュ 「ウィルバー=ロウクス=アシスト師団長。あとは任せたぞ。」

ウィルバー 「……ち、ちょっと待ってくれよ、
 俺はいままで軍隊に所属したことも指揮したこともないんだぜ?
 それなのにどうやって……。」

ラグランジュ 「一般市民は知らなくとも王立軍の上層部や一部の兵士は
 君が英雄だということを知っている。きっと皆受け入れてくれるはずだ。
 あとは順番に教わっていけばいい。君ならできる。」

ウィルバー 「……俺が、師団長?」

ラグランジュ 「後は任せたよ、アシスト君。
 それに君には心奪われた女性がいるんじゃないのかね?
 誰とは、言わないが。ま、がんばれよ。」


すたすたすた


ウィルバー (……そうだ、これで終わりじゃない。 ここからが始まりだ。
 彼女の記憶を取り戻す為の、本当の戦いはここからだ。
 その為には記憶想起の魔導を発明する必要があるか……。)

ウィルバー (いきなりぶっつけ本番で魔導を試すわけにもいかないし。
 とすると、その為には実験台が必要だな……)
「………………よし。」


▽そして……。



▽書庫に戻る


OWNER
Copyright(c)1997-1999 FUBUKI KOGARASHI (木枯 吹雪) fubuki@kogarashi.jp 日本語でどうぞ。