玄関


……友よ。
貴君を見込んで頼みがある。
よければ聞いてはくれぬだろうか?

急に改まってどうしたというのだ?
もちろん私に出来ることであれば惜しみなく協力しよう。
その頼みとは?

うむ……実はこの本なのだが……。

確かその青い本は……貴方の研究ノートのはずでは?

貴君も知っている通り、私は真実を求める旅を続けてきた。
そしてこのノートに一部始終を記してきた。
だが、もうすぐ私の旅は終わろうとしている。

……。

だが、今となってしまっては、このノートはもはや私には必要ないものとなった。
かといってもといた世界に持ち帰るわけにもいくまい。
このノートには人が知るべきではない事柄がたくさん書かれている。

そこで私にその本を預かって欲しいということか?

流石は我が友。察しが早い。
本来なら私自身の手で燃やすべきなのかもしれぬが、私にはそれが出来ぬ。
どうだろう、私の頼みを聞いてはくれないだろうか?

……。


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