王都シルバニア
中央公園
大きく枝を伸ばした広葉樹は寒さに耐えきれなかったのか、どれも葉を落としている。
冷たい風を浴びて、梢がわずかに揺れている。
朝には水が凍るこの季節、水道管の破裂を防ぐために噴水もその活動を止める。
池の氷もあと少し厚みを増せば、子供達にとって絶好のスケート場へと姿を変えることになるだろう。
空には厚い雲が覆い被さり、星空は見えない。
「どうしたんですか、エリーゼ師団長?空見上げて?」
「ん……雲で星空が見えないな……って思って。
私、星空が好きなのよ。
小さい頃、よく屋根の上で南十字星を眺めてたっけ……。」
「南十字星、か……。」
「どうしたんですか、アシスト師団長?真剣な顔しちゃって?」
「ん、ああ。
ちょっと、な。
南十字星には色々な思い出があってな。」
「……そうやって真剣な顔してれば格好いいのに……。」
「何か言ったか?エリーゼ?」
「ううん。何も。」
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