「さぁ?ちょっと聞いてみますね。
(またあの高枝切りバサミの人だ……)
えーと、あのですね、こちらに城壁守備隊長のコペルニクスという方は……」
「なんだ、俺様に何か用か?」
「………………はいっ!?
えーと……。
ですから城壁守備隊長のコペルニクスさん……」
「だからこの俺様に何の用だ?
ん?さてはこの俺様の華麗なる高枝切りバサミの話を聞きたくて来たのか?
そうかそうか。では話してやろう。いいか、このシャフトが防水コーティング……」
「……嘘でしょ?」
「いやいや、本当に防水コーティングなのだ。でだな……」
「いや、高枝切りバサミの話ではなくて。
本当に貴方が城壁守備隊長なんですか!?
……何かの間違いですよね?」
「なんだ、その話か。
本当だ。
これが俺様の身分証明書だ。」
(…………。
本当だ……。)
「……よく入隊できましたね……。」
「何故かは知らぬが、担当の面接官がいつまで経っても現れなくてな。
その年度は志願者全員が書類選考のみで合格となった……ん?どうした頭抱えて?
そうか、一刻も早くこの高枝切りバサミの話を聞きたいのだな!?」
「いえ、そうではなくて……。」
「城壁守備隊長コペルニクス。
これがレナード=セルシウス副将軍直筆の命令書だ。
ここに書かれているとおり町中全ての街灯を消して貰おう。」
「……確かにレナード副将軍のサインだな。
承知した。
俺様がなんとかしてやろう。」
(師団長に対して俺様って言うこの人って一体……。)
五分後。
「…………というわけで副将軍直々の命令が出た。各自、持ち場を回り街灯を消して回ること。
それと同時に各兵士隊長は暗視魔導を自分にかけておくこと。
何か異常があった場合は俺様に報告。以上。ちゃっきんちゃっきん。」
「……最後の音は一体……。」
「では事が済むまで俺様も師団長達についていってやろう。」
(師団長に対して『ついていってやろう』って言うこの人って一体……。)
……さてと、ユリアの奴を探しに行くか。
あいつの事だ、暗いところから明るい所へと移動するに違いない。」
「明るい所ですか……とすると……。」