王都シルバニア
繁華街
空一面を灰色の雲が覆っているためはっきりとは見えないが、どうやら太陽は既に山向こうに沈もうとしているようだ。
来るべき夜に備えてか、巡回の兵士が街灯に次々と魔導の明かりを灯していく。
冷たい風が早々と夜を運んでくるが繁華街の活気は依然として衰えていない。
『氷屋ヴォルタ』と看板の書かれた店の前に数台の馬車が止まっている。
(……馬車?
ああ、バレンタイン港からの魚の定期便かぁ。
ってことはあの馬車の中には氷付けにされた魚がたくさん積まれているんだろうなぁ。)
(ここで積み荷を降ろしたら帰り道に凍り付けにされた肉を積んで行くんだっけ。
……氷の中って冷たくないのかな?
あ、もう死んでるから関係ないのか。)
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