「てくてくてく。」
「いたわっ!噴水の向こう側よっ!
秘書さん、あなたは右から追いかけてっ!
私は左から追いつめるわっ!」
「はいっ!」
「アークライト師団長っ!!!」
「うん?
エリーゼ君にボイス将軍の奇書君。
どうしたんだい?そんなまえうしろから?」
「はぁ……はぁ、やっと捕まえましたよ。」
「うん。そうか、まいったな。じゃあ今度は僕が鬼かい?」
「鬼ごっこしているんじゃありませんっ!」
「そうか。それは残念だ。僕むかし鬼ごっこ強かったんだよ?」
「それはともかくアークライト師団長、確かグラン駐在大使を迎えにいったはずでは?」
「うん。」
「それで、その肝心のグラン駐在大使は?」
「うん。それが途中ではぐれちゃって。」
「……どうやったらお城に向かうだけではぐれるんだろう。」
「うん。それが僕にもさっぱり。」
「一刻も早く、グラン駐在大使を探す必要があるわね。
ではアークライト師団長、
ひとまず先にお城まで……………………。」
「……どうしたんですか、エリーゼ師団長?真剣に考え込んで?」
「いえ……もしも。
もしもアークライト師団長がお城に戻るまでの間に
またグラン駐在大使に遭遇したら……。」
「あ、なるほど。振り出しに戻る危険性があるんですね。」
「……君たち、何か先ほどからとても失礼な事を言っていないかい?」
「気のせいです。」
「そうか。それならいいんだ。」
「……やっぱり全員一緒に行動した方が安全かしら……。」
「ですね、きっと。
……アークライト師団長、
最後にグラン駐在大使と一緒にいたのはどこか憶えてます?」
「うん。たぶん繁華街だった気がするんだ。」