Forbidden Palace Library #04 彷徨いし来客


王都シルバニア
繁華街

昨夜から今朝方まで降り続いた大雪も、既にそのほとんどが大通りから姿を消している。
要塞都市シルバニアにとって交通網の確保は最重要課題であり、そのために王立軍が全力を挙げて除雪作業に取り組んだ結果である。

『煎れたて紅茶』と立て看板を掲げた臨時の出店の周りに、少しでもその寒さを凌ごうと人だかりが出来ている。



エリーゼ 「あら、秘書さん。
 そっちはどう?
 アークライト師団長とグラン駐在大使はみつかった?」

「いえ……エリーゼ師団長の方は?」

エリーゼ 「全然。」

「はぁ、やっぱりそう簡単には見付からないですよね……。」

エリーゼ 「……そうだ、秘書さん、ちょっと待っててね。」

「???」


すたすたすた……


エリーゼ 「煎れたての紅茶2つもらえるかしら……2リル?……はい。」


……すたすたすた。


エリーゼ 「はい、秘書さん。
 暖かい紅茶、よければ飲んで。
 手も体も暖まるわよ。」

「あ、ありがとうございますっ!」

エリーゼ 「いいえ。じゃあ、そっちもがんばってね。」

「あ、はいっ!」
(師団長の誰かに親切にされたのって、初めてかもしれない……
 じーん……他の師団長もこれぐらい親切だったらいいのに……。)


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