「あの、レナード師団長……やっぱり悪いですよ……」
「いや、構わん。どうせ暇だったからな。」
「……レナード師団長、誰が暇なんです?」
「秘書か。私は今忙しいのだ。邪魔をしないではくれないか?」
「アークライト師団長とグラン駐在大使の捜索はどうするんですかぁぁっ!?」
「いいか、秘書、
時には国家よりも大事なことがあるのだ。
たとえ火の中、水の中、雪の中。」
(……でも火の中は熱そうだし、水の中は冷たそうよね。
それで心臓麻痺にでもなったら……。
やっぱり雪の中にかまくらでも作ってそこで紅茶でも飲んでいるのが一番かしら?)
「雪の中ってなんですか?」
「雪崩のことだ。」
(いやっ!やっぱり雪の中もいやっ!お願いっ!レナード師団長っ!助けてっ!)
「それにさっき国家の一大事だとか言ってませんでした?」
「気のせいだ。
……ん?アリスさん?
マントの裾をつかんで……どうかしましたか?」
「あ、い、いえ、なんでもないんです……」
「はぁ。……とにかく、一段落したらちゃんと捜索再開してくださいね。」
「そのうちにな。」
「そ、そのうちって……。」