Forbidden Palace Library #05 異存なき決定


王都シルバニア
中央公園

雪雲という名の季節の渡航者が落としていく白い粉は美しく、そして儚い。
その美しさに惹かれるかのように子供達は天を仰ぎ見、そしてその冬の落とし子を口にしようとするが、白い結晶はすぐに姿を消してしまう。
だがそれでも子供達はあきらめず、次々と降り続ける雪を食べようとあたりをちょこまか動き回っている。


「あ、エリーゼ師団長。
 あのー、つかぬ事をお伺いいたしますが、
 書類……副将軍任命書、見ませんでした?」

エリーゼ 「私は見てないけど……なにかあったの?」

「いえ、実はあの書類を落としちゃいまして……」

エリーゼ 「副将軍任命書を?
 ……わかったわ。
 私も探すのを手伝うわ。」

「え?
 ほ、本当ですか!?
 でもこれは私の責任……」

エリーゼ 「秘書さん、過ぎた事をとやかく言っても仕方ないわ。
 特に一刻を争う時は今のことだけを考えるのよ。
 いいわね?じゃあ私は向こうの方を重点的に探すわ。」

「あ、はいっ!
 ありがとうございますっ!」
(ううっ、エリーゼ師団長、やっぱりいい人だ……)



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