「あのー、ちょっとお尋ねしたいんですけど……。」
「ちゃきーん。
俺様は今非常に機嫌が悪いのだ。だが頼みとあれば答えてやろう。
もちろんこの高枝切りバサミについてだな?」
「いえ、そんなものどうでもいいんですけど……」
「そうか、それほどにこの高枝切りバサミの名前を聞きたいというか。」
「……名前、つけているんですか?」
「聞きたいか?聞きたいのだろう。いや、遠慮する必要はない。」
「確かに非常に気になりますけど……いえ、それよりも書類知りません?」
「書類だと?」
「ええ、公爵家の印が押された上質紙なんですけど……。」
「ああ、先ほど拾得物として届いたぞ。」
「よかったぁっ!」
「だが先ほど俺様がこの華麗なる高枝切りバサミで2枚が4枚、4枚が8枚に切……」
「ええっ!?」
「……切ろうとしたところをユリアの奴に持っていかれた。」
「ユリア師団長がっ!?
あ、ありがとうございますっ!」
(急がなきゃ……)
「そうそう、一つ嬉しい知らせがあってな。晴れてこのたび俺様は……」
「おーい、無視するなぁ」