Forbidden Palace Library #05 異存なき決定


王都シルバニア
城壁

雪は城壁の上にも積もる。
その白き壁の上で周囲を監視する兵士達とは別に、臨時に出動命令を出された兵士達がスコップを手に必死に雪を下ろしている。

城壁から下ろされる雪の粉をかぶったのであろうか、シルバニアの正門前では一人の兵士が上を向きながら高枝切りバサミを振り上げて何やら抗議している。


「あのー、ちょっとお尋ねしたいんですけど……。」

コペルニクス 「ちゃきーん。
 俺様は今非常に機嫌が悪いのだ。だが頼みとあれば答えてやろう。
 もちろんこの高枝切りバサミについてだな?」

「いえ、そんなものどうでもいいんですけど……」

コペルニクス 「そうか、それほどにこの高枝切りバサミの名前を聞きたいというか。」

「……名前、つけているんですか?」

コペルニクス 「聞きたいか?聞きたいのだろう。いや、遠慮する必要はない。」

「確かに非常に気になりますけど……いえ、それよりも書類知りません?」

コペルニクス 「書類だと?」

「ええ、公爵家の印が押された上質紙なんですけど……。」

コペルニクス 「ああ、先ほど拾得物として届いたぞ。」

「よかったぁっ!」

コペルニクス 「だが先ほど俺様がこの華麗なる高枝切りバサミで2枚が4枚、4枚が8枚に切……」

「ええっ!?」

コペルニクス 「……切ろうとしたところをユリアの奴に持っていかれた。」

「ユリア師団長がっ!?
 あ、ありがとうございますっ!」
(急がなきゃ……)

コペルニクス 「そうそう、一つ嬉しい知らせがあってな。晴れてこのたび俺様は……」


たったったっ

コペルニクス 「おーい、無視するなぁ」



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