「アークは……どうやらいないようだな。」
「え?どうしてそんなことわかるんです?」
「気配だ。家の中から人の気配がしない。」
「それだけでわかっちゃうんですか?」
「ある程度はな。」
「ってことは、かつて諜報部に所属していたっていう噂は……もしかして本当に?」
「……どこでそんな話を?」
「いえ、
だいぶ前になるんですけど、
アシスト師団長がそんなことを言っていた気が……。」
「……アシストめ、余計なことを。
いいか、秘書。知らない方がいいことというのも時にはある。
それが他人の行動に関わることなら尚更だ。」
「じゃあ封筒の中身を見た犯人も謎のままでいいですよね、別に。」
「何を言うか。真実とは常に追求するためにある。
偽りや誤魔化しなどというのは人を欺く事に他ならない。
後にわだかまりを残したくなくば嘘はつかないことだ。」
「なんかさっきと言ってること違いません?」
「気のせいだ。」
「…………。」
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