Forbidden Palace Library #07 夜明けの前に


王都シルバニア
アシスト邸

王城から近い住宅街の一等地に存在するアシスト邸。
華やかさはなく、むしろ質素という言葉が似合う。

飾り気のない外壁は以前の持ち主の趣味なのか、それとも彼がそれを選んだのか。
どちらにせよ、機能美という言葉が相応しい。


アシスト 「そういえばオービルの奴、今頃なにしているかな……。」

「オービル?……って、誰ですか?」

アシスト 「言ってなかったっけ?俺の弟の名前だ。
 セリフォスの総合図書館で司書長をやっているんだけどな、
 俺は大戦終結後一度も帰ってないから、少し気になってな。」

「あれ?セリフォスって、確かアシスト師団長の出身地ですよね?」

アシスト 「ああ。代々、セリフォス総合図書館の守護を務めてきた家だからな。
 一族に生まれたからには図書館を守らなきゃいけないっていう
 使命があるらしいんだ、アシスト家には。」

「それで、そのアシスト家の長男が家督ほっぽりだしてシルバニアにいると。」

アシスト 「……ほほぅ。
 秘書、
 そういう事を言うからにはそれ相応の覚悟は出来ているんだろうな?」

「あ、いえ、なんでもないです。気にしないでください。」

アシスト 「……秘書、実験台と試験体どっちがいい?」

「えっと、どっちも嫌だなぁっていうかその二つってどう違うんです?」

アシスト 「前者は俺の魔導の実験の礎となる。
 後者は俺の新作魔導の試験を受けてもらう。
 どっちがいい?」

「それって、どっちも同じって言いませんか?」

アシスト 「いや、微妙に違う。」

「どこがです?」

アシスト 「字が。」

「……聞いた私が馬鹿でした。」

アシスト 「そうか。じゃあ早速俺の実験台に……。」

「ち、ちょっと待ってくださいよっ!!!」

アシスト 「なに、
 痛いのは最初だけだ。
 すぐに痛みすら感じなくなる。」

「あ、そうだ。
 まだレナード将軍の仕事の途中だったんだ。
 じゃ、失礼しますー。」


たったったっ


アシスト 「……ちっ。逃げられたか。」



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▽ハーシェル邸へ行く
▽ラントシュタイナー邸へ行く

★★



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