「アークライト師団長!」
「むにゃむにゃ……。」
「アークライト師団長っ!!!」
「……ん?
あれ?
……えっと。」
「お目覚めですか、アークライト師団長?」
「レナードくんとその一緒さん。」
「秘書ですってば。」
「どうして君たちはこんなところにいるんだろう。
そして僕も。
……うーん、それが僕にもさっぱり。」
「い、いえ、あの、一人で完結されても困るんですが……。」
「きっといつもの夢遊病だ。うん。たぶんそうだ。」
「……は?
あ、あのー、アークライト師団長、
ひょっとして方向音痴だけじゃなく夢遊病も……?」
「うん。そうみたいだね。」
「みたいだね、って他人事みたいに……。」
「目が覚めたところで質問だ、アーク。
昨日の会議……。
そういえば昨日の会議には出席していなかったな。」
「うん。道に迷っちゃって仕方ないから猫と遊んでた。」
「……道に迷うと猫と遊ぶんですか?」
「うん、だって可愛かったから。」
「…………。」
「では、昨日は一度も作戦会議室に立ち寄っていないということか?」
「あ、そういえば夕方立ち寄った気がする。」
「夕方?」
「でも陽は沈んでいたから夜になるのかなぁ。たぶん午後7時頃。」
「それで、レナード将軍の机の上に白い封筒はありませんでした?」
「白い封筒?……うーん。見覚えないなぁ。
10分ほど、作戦会議室で遭難してたけど
見た記憶はないなぁ。」
「……さ、作戦会議室で遭難って……。」
「午後7時頃、と言ったな?」
「うん。たぶん。」
「……作戦会議終了後にアシスト、ベル、エリーゼの順で入室している。
そして私が作戦会議室に戻り、封筒の紛失に気づく直前に
アークが入室したということか。」
「つまりアークライト師団長の証言を信じれば、
エリーゼ師団長退室後、アークライト師団長が入室するまでの間、
午後5時半から午後7時までの間に作戦会議室に立ち寄った人物が……。」
「封筒を持ち去った犯人の可能性が強い。」
「容疑者として残ったのは……。」
「コペルニクスとユリア、か……。」
「ところで僕はもういいのかな?」
「ああ。とりあえずはな。」
「うん。じゃあ僕はこれで。
……あ、そうそう。
さっき住宅街のパン屋さんから明かりが漏れてたよ。」
「……アリスさんのところのパン屋さんですか?」
「うん。たぶん。何か準備してたのを寝ぼけながら見た記憶があるなぁ。ぐー。」
「ってそこでいきなり寝ないでくださいよ、アークライト師団長。」
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