Forbidden Palace Library #07 夜明けの前に


王都シルバニア
王城2F 新館

王城の建物群の中で最も新しい建物が、ここ新館。
本館の400年以上という歴史に対して僅か100年前に作られたこの建物には、女王専属の従者や料理人、そして王城警備兵の宿舎が設けられている。

窓際で赤髪の男が何かごそごそ動いているようだ。


ベル 「あぅぅぅぅぅ。
 なんでこんな時間まで窓枠の修理しなきゃならないんだ。
 しくしくしくしく。」


だだだだだっ


アシスト 「あ、いいところにいた、ベルっ!」

ベル 「!? どしたんだ?」

アシスト 「いいからそこにじっとしてろっ!」

ベル 「あ、ああ?」


だだだだだっ


レナード 「いたぞっ!」


しゅっ!


ベル 「うわっ!
 おい、レナードっ!?
 いきなりナイフ投げるなよっ!」

アシスト 「いいからじっとしてろって言っただろ、ベル。」

ベル 「馬鹿、じっとしてたらナイフが危ないだろうがっ!」

アシスト 「だから俺にあたらないようにお前を盾にしているんだろうが。」

ベル 「するなぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

アシスト 「ちっ。そんなんだから心の狭い奴って言われるんだよ。」

ベル 「誰に言われるんだよ?」

アシスト 「俺に。」

ベル 「だったら言うなぁぁぁぁぁっ!!!」


しゅっ!


ベル 「うおあっ!?だから俺にめがけて投げるなぁぁぁっ!」

レナード 「アシストを狙っているだけだ。」

ベル 「だからその間にいる俺のことも考えろっ!」

レナード 「安心しろ、なまくらのナイフだ。
 ちゃんと顔は狙わずに足だけを狙っている。
 当たっても弁慶の泣き所を蹴られたぐらいの痛みにしかならん。」

ベル 「それでもあたれば充分痛いわぼけぇぇぇぇぇっ!!!!」

アシスト 「……フィリス・エウ・クレイティス
 荒ぶる突風よ邪魔者を吹き飛ばせ
 ゲイルっ!!!」


ごぉぉぉぉぉぉっ!!!


ベル 「うわわわわっ!?」

レナード 「なんのっ!」


しゅっ!



こんっ


ベル 「いってぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」

レナード 「アシストではなくベルに当たったか……。」

アシスト 「よっしゃ、今のうちっ!」


だだだだだっ


「レナード将軍とアシスト師団長って……
 実はある意味で似たもの同士かもしれない。
 ……はぅ。」

レナード 「わけのわからないことを言ってないで早く追うぞっ!」

「あ、はいっ!」

ベル 「はっ!……直りかけていた窓枠が今の突風で壊れてるぅぅぅ。
 また1からやり直しだぁぁぁっ。
 はぅぅぅぅう。」

「…………がんばってくださいね。」

ベル 「そんなこと言わないで手伝ってくれない?ね?」

「私もアシスト師団長追いかけなくちゃいけないので。」


すたすたすた


ベル 「あううううぅぅぅっ。」



▽階段前へ行く
▽本館廊下へ行く



▽書庫に戻る


OWNER
Copyright(c)1997-1998 FUBUKI KOGARASHI (木枯 吹雪) fubuki@kogarashi.jp 日本語でどうぞ。