Forbidden Palace Library #07 夜明けの前に


王都シルバニア
王城2F 新館

王城の建物群の中で最も新しい建物が、ここ新館。
本館の400年以上という歴史に対して僅か100年前に作られたこの建物には、女王専属の従者や料理人、そして王城警備兵の宿舎が設けられている。

窓際で赤髪の男が何かごそごそ動いているようだ。


ベル 「あぅぅぅぅぅ。
 直りかけた壁がまた壊れたぁぁぁっ。
 しくしくしくしく。」

「あ、黄昏てる。」

ベル 「そうだ、秘書!
 パントマイムで窓が直ったふりをするってのはいい案だと思わないか?
 俺ってもしや天才っ!?」

「で、実際風が吹き込んでくるのをどう説明するんです?」

ベル 「あぅぅぅぅぅっ。
 しまったぁぁぁぁっ。
 よし、じゃあ壁紙貼ってごまかすってのはどうだ?」

「壁紙を張ったら窓じゃなくて壁になってしまうんじゃ……」

ベル 「ここで会ったのも何かの縁ってことで、ちょっと手伝ってくれない?
 よし、ラファエル王国初代宰相エルネストが書いたと言われてる
 『三日で分かる禁呪』って本あげるからさ、ね?ね?」

「ウィンクしても無駄ですってば。
 それにその本って半年ほど前にベル師団長が1000リルで買って
 偽物だったとか嘆いてた本ではありませんでしたっけ?」

ベル 「な、何故その事を知っているっ!」

「自分で言ってたじゃないですか……。」

ベル 「くぅっ!
 しまった、グリフィス=ベル一生の不覚っ!
 ……そこはそれということでさ、ほら、ね☆」

「ま、がんばってくださいね。」


すたすたすた

ベル 「見捨てないでくれぇぇぇぇっ。あううぅぅぅ。」



▽階段前へ行く
▽本館廊下へ行く

★★★



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