「まぁるさんかくしかくぅ。」
「わっ!びっくりするじゃないですか。
どうしたんです、レミィ陛下。
そんなところに座り込んで?」
「まぁるさんかくしかくぅ。綺麗に描けたんですの。
あまりに綺麗に描けたものですから、
はなまるぅをつけようとしたんですけども……」
「……あーあ、石畳にペンで描いてるし。」
「はなまるぅを上に描いてしまうと、
せっかく綺麗に描けたまぁるさんかくしかくぅが
壊れてしまうのです。どうしましょう。」
「いえ、どうしましょうと言われても……。」
「そうですわ。
秘書さん、あなたにもまぁるさんかくしかくぅの描き方を
お教えしますわ。うふふふふふ。」
「あ、あのー、ちょっと今は遠慮しておこうかなぁと……。」
「もったいないですわ。
このあいだアークライトさんに教えたら、
喜んでくださいましたよ、まぁるさんかくしかくぅ。」
「……教えたんですか?」
「ええ。うふふふふ。」
(ひょっとして、それが原因で前回アークライト師団長が
『かくかくしかじか』を『まぁるさんかくしかくぅ』に
聞き間違えていたの……か?)
「聞きませんー?描き方ー?楽しいですわよー?」
「じ、じゃあ今度ゆっくり時間のあるときに……」
「あら、今は時間ないんですの?」
「え、ええ。
まぁ一応レナード将軍の命令で
こんな時間でも動いている身なので……。」
「はなまるぅはなまるぅはなまるぅ。
えらいえらいー。国のために働いてるー。
にこにこ。はなまるぅ。」
「いえ、あの、描かなくていいですから。」
「うふふふふふ。」
「………………この国、もうダメかも。」
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