「あっれーっ?
秘書ちゃんおっはよー☆
こんな朝早くから何やってるのー?」
「あ、ユリア師団長。
いえ、実はですね、レナード将軍の命令で……
あ、そっか。ユリア師団長にも聞いておかないと。」
「え?なになに?
あたしまた容疑者になっちゃったの?
きゃー☆大変、どうしましょー☆」
「……えっと、つかぬことをお伺いしますが、
昨日の午後の定例会議の後、午後6時から7時の間に
もう一度会議室に立ち寄ったとかそういうことはありません?」
「あらぁ☆ どうして知ってるのぉっ☆
ひょっとして秘書ちゃんあたしのストーカー?
きゃー、おそわれちゃうー☆」
「……あのー、人の話聞いてます?」
「アークよりはちゃんと聞いている自信あるわよ☆」
(そんな自信持たれても困るんだけどなぁ……)
「それで、作戦会議室がどうしたの?
また誰かおじーちゃんのミルククッキーでも食べたの?
あたしはお兄ちゃんと違ってクッキーに興味ないしー☆」
「いえ、あの、
そういう話ではなくてですね、
ひょっとしたら会議室で一通の白い封筒見ていないかなぁと。」
「白い封筒? あ、レナードちゃんのラブレターのことね☆」
「……は?」
「え?だから、アリスちゃん宛に書かれたラブレターのことでしょ?
もうレナードちゃんったら一途よねぇ☆ きゃあ☆
でもあの書き方じゃ乙女心は掴めないわっ☆」
「あのー、ってことはひょっとして犯人ってユリア師団長……?」
「だって封が綺麗に開いてたしー☆
せっかくだからあたしがちゃんと書き直しておいてあげたのー☆
もうこれでばっちりね☆きゃー☆」
「書き直しって……えっと、話を要約すると、
レナード将軍の探してる白い封筒って言うのは実はラブレターで、
その文面をユリア師団長が書き換えた、と?」
「そうとも言うかもねー☆
え?もしかしてあたし容疑者?
ねぇねぇ、容疑者容疑者?」
「容疑者も何も犯人そのものだと思うんですけど……。
それで、そのラブレターはどこに?
まさかもうアリスさんに渡してしまったとか?」
「書き直したラブレター?ここにあるわよ☆
いまから届けに行こうと思ってー☆
パン屋さんだからもうこの時間には起きているかなって☆」
「……ほぅ。
話は全て聞かせてもらった。
なるほど、そういうことか、ユリア。」
「あら、レナードちゃん、おはよー☆」
「ユリア、犯人はやはり当初の予測通りお前だったか。」
「……最初はアシスト師団長を犯人だと決めつけていませんでした?」
「何か言ったか?」
「いえ、なんでもありません。」
「余計な手出しはしないでもらおう。
ユリア、お前が書き直したという手紙ごと
その白い封筒は返してもらうぞ。」
「えー?
恋の橋渡しぐらいしてあげるわよー☆
ほら、遠慮しない遠慮しない☆」
「いいから渡したまえ。」
「んもぅ、けちー☆ はい。」
「……よし。これで無事に回収できたというわけか。」
「……あれ?
ということは……ユリア師団長、
レナード将軍が書いた元の手紙はどうしたんです?」
「作戦会議室の書類棚の一番上に置いてきたわよ☆」
「……へぇ。何探しているのかと思えばラブレターだったのか。」
「あ、アシスト師団長。」
「ユリア、元のラブレターは作戦会議室の書類棚の上なんだな?」
「ぴんぽーん☆」
「アシスト、何を企んでいる?」
「いや、俺が先に手に入れてアリスさんに渡したらどうなるかなと?
ここからパン屋の前を経由すれば王城まではすぐだしな。
……じゃ、そゆことでっ!」
「あ、待て、アシスト!!!
余計な奴に話を聞かれてしまったかっ!
迂闊だったな……秘書、追いかけるぞっ!」
「あ、はいっ!」
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