Forbidden Palace Library #08 認可なき侵入


王都シルバニア
中央公園

遊歩道の両側に植えられた落葉樹は、その梢から小さな葉を芽生えさせている。
その枝の上では小鳥がさえずり、木々が再び緑色を纏うのを心待ちにしているようだ。
周囲の景色が色を帯びてきたからであろうか、冬には冷たく感じられたその石畳もこの季節にはむしろ暖かく見えてしまう。

噴水から吹きあげる水しぶきの回りで、子供達が追いかけっこをしている。



「アシスト師団長の実家って、確か図書館なんですよね?」

アシスト 「ああ。
 600年ほど昔からずーっとセリフォスの図書館で
 代々管理人を務めているぞ。」

「600年ほど前?
 あれ?ということは時期的に
 ラファエル王国崩壊の頃と一致しません?」

アシスト 「……鋭いな、秘書。
 俺も昔、同じ様な疑問を抱いたことがあって
 何か関連性があると思って調べたことがあったんだが……。」

「で、どうだったんです?」

アシスト 「………………。
 まぁその話はおいといて、だ。
 それより突然どうかしたんだ、そんなこと?」

「あのー、調査結果が気になるんですけど……。
 ということは本がたくさんあったわけですよね?
 アシスト師団長が小さい頃ってどんな本を読んでいたんですか?」

アシスト 「……知りたいのか?」

「え?」

アシスト 「知って後悔しないな?」

「え?え? ってあのー、アシスト師団長?」

アシスト 「そうかそうか、
 その身を以て確かめたいというのか。
 それほどまでに魔導の実験台になりたいとは立派な心がけだ。」

「そんなこと言っていませんってばぁっ!」

エリーゼ 「ロ・ウ・ク・ス・君!」

アシスト 「げっ! エリーゼ!……じゃ、秘書、そういうことで。」


すたすたすた


エリーゼ 「ちょっと待ちなさいっ!ロウクス君っ!」


だだだだだっ


「……あーあ、行っちゃった。」



▽ 城壁へ行く
▽ 繁華街へ行く
▽ 住宅街へ行く

★★



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