「アシスト師団長って最近はどんな本をよく読むんです?」
「そうだな、魔導飛翔力学の専門書だろ、
それと流体魔導学の応用書に理力波動の解説書……。
まぁ最近は読むより自分の研究をまとめることの方が多くなってきたかな。」
「まとめているんですか?」
「ああ。
暇を見つけては今までの研究成果を色々と
ノートにまとめたりしているんだけどな。」
「例えばどんなことです?」
「エリーゼに追われて重力系飛翔魔導で逃げている時の為に、
新たに任意の空間に荷重力の一点を魔導で生み出し、
そこを基準として加速効果を生みだし逃げ切る為の双曲線の方程式についてとか。」
「…………は?」
「あとは人混みの中でベルだけをからかうために、
音声を任意の一点に集中して送り届ける
パラメトリックアレイ効果の研究とか……まぁいろいろだ。」
「……そういう知識をもっとまともな事に役立てればいいのに。」
「何か言ったか、秘書?」
「いえ、なんでも。」
「今、実験台になりたいとか言わなかったか?」
「やだなぁ、そんなこと言うわけないじゃないですかぁ。
あ。そういえば用事を思い出したので失礼しますー。
じゃ、私はこれでっ。」
「……ちっ。逃げたか。」
★★