(あれ?王城の方から歩いてくるのは……?)
「郵便の回収に来ました。」
「ご苦労。ちゃきーん。」
「……ってあのー、どうして王城の兵士が郵便を回収に来るんです?」
「その方が面白いし。」
「ええっ!?」
「……だったらどうする?」
「ああ、びっくりしたー。」
「ちゃきーん。
好奇心旺盛なのはいいことだ。説明してやろう。
それはだな、この俺様の華麗なる高枝切りバサミ……」
「いえ、高枝切りバサミじゃなくて郵便のことについて聞きたいんですが。」
「…………。」
「いえ、ですから睨まれても。」
「……この王都の場合、
これから配達される郵便もどこかから配達されてきた郵便も
一度は全て城壁に集まることになっている。」
「あ、そうなんですか?」
「ここで地区ごとに分別され、各区域ごとに配達されていくことになるのだが、
王城だけは例外だ。一般の郵便職員は立ち入りを禁じられているからな。
そこで、ユカワの様に王城担当の兵士がまとめて受け取りに来るわけだ。」
「なるほど、そういう仕組みだったんですか。
それで王城に運ばれた手紙が内部で各ポストに放り込まれると。
……結構面倒なシステムですね。」
「国家機密を守るためだ。そのぐらい仕方はない、ちゃきーん。
ところでここまで聞いたからには
俺様の華麗なる高枝切りバサミについても説明を……。」
「おーい、無視するなぁ」
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