「そうそう秘書ちゃん、聞きたい?」
「……はい? 何をです?」
「アークの迷子話。」
「……まだあるんですか?」
「だってそりゃアークだものー☆
いくらでもあるわよー☆
もう星の数ほど☆」
「いえ、確かにいくらでもありそうなんですけど……」
「でね、でね、続きなんだけど、聞いて聞いて、秘書ちゃん。」
「はぁ……。」
「切り株持ち歩いて失敗して、
チーズ持ち歩いて失敗して、
結局3度目の正直で持ち歩いたのが……」
「持ち歩いたのが?」
「おっきなバームクーヘン。両腕に抱えて。」
「……は?」
「バームクーヘンって『木のケーキ(Baum Kuchen)』って意味でしょー?
だから年輪代わりになると思って持ち歩いたらしいのー☆
おなか空いたら食べることもできて一石二鳥ってことで☆」
「……それって一石二鳥って言うんですか?」
「でもね、致命的欠点があったの。」
「……なんとなく全てが最初から致命的欠点だらけな気もするんですけど。」
「バームクーヘンってどこを切っても年輪が均一なのよねー☆」
「……あっ…………。」
「それでアークったら、
仕方なくその場で全部食べちゃったんだってー☆
アークらしいわよねぇ☆」
「……やっぱりアークライト師団長って…………。」
★★