Forbidden Palace Library #08 認可なき侵入


王都シルバニア
住宅街
パン屋ソフトブレッド

木彫りの看板のぶら下がる住宅街のパン屋さん、ソフトブレッド。
近づくにつれ、だんだんと香ばしい匂いが漂ってくる。
どうやら先ほどパンが焼き上がったばかりのようだ。




からんからん


アリス 「いらっしゃいませ。」

??? 「この店でクッキーは売っているか?」

アリス 「あのー、当店ではパンしか扱っていないのですが……申し訳ございません。」

??? 「そうか。
 それは仕方がないな。
 別の店をまわると…………レナード?」

レナード 「……ん?ジュリアス?」

ジュリアス 「お前、パン屋でなにやってんだ?」

レナード 「そういうお前こそ何買うつもりだったんだ?」

ジュリアス 「え?
 チョコチップクッキー売っていないかなぁと。
 ほら、パン屋って時々そういう菓子を作っているところもあるだろ?」

レナード 「……いつから宗旨替えしたんだ?
 昔はあれほどまでにボイス元帥と同じく
 ミルククッキー好きだったろうが。」

ジュリアス 「そういうお前こそ、昔は小さな女の子とよくデートしていたよな。」

「え?そ、そうなんですか、レナード将軍?」

ジュリアス 「いやー、俺もあんときは驚いたぜ。
 まさかレナードがウェルナー通りのアンジェリカちゃん(当時6歳)にまで
 声をかけるとは。」

レナード 「……待て。誤解を受けそうな表現はやめろ。
 ただ単に迷子になりそうだったから帰り道を教えていただけだ。
 それと秘書、さりげなく遠ざかるのはやめろ。」

「あ、いえ、なんとなく。」

ジュリアス 「そうそう、それより驚いたのが、
 オーレリアちゃん(当時2歳)に熱い抱擁をした時だったかな。
 こいつの守備範囲広いなぁと思ったもんなぁ……。」

レナード 「女の子が水たまりで転んで今にも泣きそうだったから、
 抱き上げてよしよしとあやしていただけだ、妙な言い方をするな。
 ……だから秘書。遠ざかるなと言っている。」

「いえ、やっぱりなんとなく離れた方がいいかなーって。」

レナード 「……ジュリアス、頼む。
 変なことを言うな。
 部下に誤解を与えかねん。」

ジュリアス 「いやー、昔の記憶がちょっと曖昧で。」

「……既にそういう次元の問題じゃない気がするんですが。」

ジュリアス 「そうか?まぁいいよ。」

「いえ、よくないんですけど……。」

レナード 「ジュリアス。お前という奴は昔から…………」

ジュリアス 「レナード、お前だって10年前は………………」


・・・・・


(あーあ、なんか当分終わりそうにない口論しているなぁ。
 ……ここにいてもうるさいだけだし、
 ちょっと他の所を回ってこようっと。)



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