Forbidden Palace Library #08 認可なき侵入


王都シルバニア
住宅街
パン屋ソフトブレッド

木彫りの看板のぶら下がる住宅街のパン屋さん、ソフトブレッド。
近づくにつれ、だんだんと香ばしい匂いが漂ってくる。
どうやら先ほどパンが焼き上がったばかりのようだ。



アリス 「ごめんなさいレナード将軍、
 ボイルの魔導が効きすぎて、
 ちょっとお茶が熱くなってしまいました……。」

レナード 「ああ、いや、構わない。ありがとう。」

アリス (『お茶が冷めるまでの間君の顔を見ているから』『そんな……』
 『見せてくれ、その愛しい顔を』『……恥ずかしいっ』
 『君のことがもっと知りたい』『……ダメ………んっ。』)


からんころん


アリス 「あ、い、いらっしゃいませ。」

「……やっぱりここにいたんですね、レナード将軍。」

レナード 「何の用だ、秘書。」

「いえ、ジュリアスさんのことでお話が……」

レナード 「待て、話はこの熱いお茶が丁度いい温度加減になってからだ。」

「……あのー、そんなに待っていられないんですけど。」

レナード 「お茶が熱いのは、お茶には不純物が多く含まれているからだ。
 だから本来水が蒸発する100℃に達しても蒸発しない。
 だから舌火傷の可能性が高くなるのだ。」

「いえ、誰もそんなこと聞いていないんですが……。」

レナード 「逆に氷に塩を入れると液体のまま0℃以下に温度を低下させることもできる。
 塩が氷を溶かそうとし、そのときの融解熱をも奪うからだ。
 初等学校の理科の授業で実験しなかったか?」

「だからそういう事が聞きたいわけではなくて……。」

レナード 「とにかく、話はこの紅茶が冷めてからだ。」

(…………この人は後回しにした方がよさそうだなぁ。)



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▽ 城壁へ行く
▽ 繁華街へ行く
▽ 住宅街へ行く

★★★



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