王都シルバニア
中央公園
遊歩道の両側に植えられた落葉樹は、その梢から小さな葉を芽生えさせている。
その枝の上では小鳥がさえずり、木々が再び緑色を纏うのを心待ちにしているようだ。
周囲の景色が色を帯びてきたからであろうか、冬には冷たく感じられたその石畳もこの季節にはむしろ暖かく見えてしまう。
公園のベンチでは、猫がしっぽを揺らしながら居心地良さそうにひなたぼっこをしている。
「そういえばグリフィス師団長、いつも頭にそのヘルム着けていますよね。」
「おう、これか? 俺の大切な宝物だ。」
「そうなんですか?」
「ああ。
……例え世界中のどこにいても、
これがあれば勇気を失うことはない。」
「え?」
「もし俺がそのうちにまた傭兵に戻ることがあったとしても、
きっとそれでもこのヘルムだけは着けているんだろうな。
大切な、大切な、宝物だから。」
「………………。」
「……いつの日か、きっと……俺は今でも信じてる。」
(グリフィス師団長……いつもと何か違うような?)
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