Forbidden Palace Library #08 認可なき侵入


王都シルバニア
城壁

日差しをうけて白く輝く城壁。
そしてその城壁の下、同じ白さで輝く高枝切りバサミ。
季節が移り変わってもこの二つだけは変わらないものなのだろうか。

ついこの間まで城壁の上に常備されていた雪かき用のスコップは、もう季節的に必要ないと判断されたのか、兵舎に戻されてしまったようだ。

先ほどまで馬車の上で交渉していた商人達の姿もまばらになってきた。
どうやら交渉がてら昼食でも取りに行ったのだろう。



(あ、珍しく検問してる。)


・・・・・


コペルニクス 「身分証明書の提示を。ちゃきーん。」

??? 「はい、これ。」

コペルニクス 「………………。」

??? 「何か問題でも?」

コペルニクス 「貴様、一つ質問がある。」

??? 「???」

コペルニクス 「俺様の華麗なる高枝切りバサミについて、どう思う?」

??? 「……なんでも切れそうだけど?」

コペルニクス 「ちゃきーん。
 そうかそうか。貴様は見る目があるな。
 よし通っていいぞ。」

??? 「ところでちょっと聞きたいんだが、
 おいしいパン屋さんかお菓子屋さんを知らないか?
 最近出来たお店とか……。」

コペルニクス 「最近というほど最近でもないが、
 2年ほど前に住宅街にパン屋がオープンしたのは憶えている。
 食べたことはないが。ちゃきーん。」

??? 「そうか、ありがとう。行ってみるよ。」


・・・・・


(この人の検問の基準って一体……。
 …………あれ? あの茶色い髪の人、
 前にどこかで見たことあるような……気のせいかな?)



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