王都シルバニア
住宅街
雪も解け、ゆるやかに春の風が舞うこの季節。
住宅街の所々でも花のつぼみがわずかに地面から顔を出し始めている。
それまで耐えてきた長い冬を乗り越え、夏の来ないこの地方でわずかな春の陽気を楽しむかのように。
昼食の時間ということもあり、さっきまであれだけ屋外にでていた子供達はとりあえず家に戻っているようだ。
お昼ご飯が終わった後、再び外へ遊びに出掛けるのであろう。
ごとごと ごとごと
(ん?ゴミ箱が動いてるっ!?)
ばかんっ
「わっ! アークライト師団長、またですか?」
「んんん。」
「……って、あれ?
マルス前師団長。
…………ゴミ箱の中で何やってるんです?」
「んんん。隠れ家からでてきたところ。」
「は?隠れ家?ゴミ箱の中がですか?」
「んんん。内緒。」
ばこんっ。
「ってどうしてアークライト師団長といい、
マルス前師団長といい
そこでゴミ箱の中に戻るんですかぁっ!?」
ばかんっ
「ちょっと、聞いてま…………」
ぼんっ!
「…………けほっ、けほっ……。
またいないし。
どうして爆発残して消えるかなぁ……けほっ。」
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