「いらっしゃいませ。」
「えっと、あのー。」
「???」
「茶色い髪の毛の男性の方、このお店に来られました?」
「いえ、今日はまだそのような方を見ていませんが……?」
(ちゃんとたどり着けていないのかなぁ?)
「その方が、どうかなさったんですか?」
「いえ、先ほどこの近くにパン屋はないかと聞かれたので
このお店をお教えしたんですが……
道にでも迷ったんでしょうねぇ?」
(さては私の命を狙おうとしているのねっ!
そんなっ! ダメよ、負けてはダメ、アリス!
私はレナード様のものなのよっ!)
「もしお見えになられたら、宜しくお願いいたしますね。」
(『いいんだね、君の全てを頂いても?』『ええ……でもこんな昼間から……』
『愛という囁きを紡ぐのに時間は関係ないさ』『ダメっ……そんな……』
『心の糸を紡ぐ為に、その一糸纏わぬ姿をみせてくれ』『あっ……。』)
「???あのー、もしもし?」
「…………………………。」
「え、えっと、とりあえず出直しますー。じゃっ。」
(さっきのあの人、どこに行っちゃったんだろう?
……アークライト師団長じゃないから、
そのうちにここにたどり着けるとは思うけど……。)
■