Forbidden Palace Library #09 君だけの騎士


王都シルバニア
住宅街

南半球に存在するこの大陸では、暖かい風が北から吹き込んでくる。
春が過ぎ涼季を経たこの季節、シルバニアはほのかな暖かさに包まれる。
夏が訪れないこの地方で、今がもっとも暖かい季節なのである。

子供達もそんな季節をめいっぱい満喫しようとしているのだろうか、
冬に寒さから逃れるために駆けっこをしていたのとは異なり、今の季節を心から楽しむかのように住宅街を走り回っている。



「あれ、ボイス元帥。なにやっているんです?」

ボイス 「うむ、秘書か。
 いやなに、どこかにクッキー屋はないかと
 散策しておったのじゃよ。」

「ボイス元帥でしたら、クッキー屋さんの位置を全て覚えていそうなんですが。」

ボイス 「無論覚えておる。」

「……お、覚えているんですか。じゃあ……?」

ボイス 「うむ、だがそれまでクッキーを扱っていなかったお店などでも
 販売を開始することが希にあるからな。
 そういった店をこうやって地道に探しているのじゃ。」

「そうなんですかー。……ところでお仕事の方は?」

ボイス 「うむ、任せたぞ、秘書。」


すたすたすた


「ってええっ!?
 ち、ちょっと待ってくださいよぉぉっ!?
 私は将軍専属の秘書であって、元帥専属の秘書ではないんですがぁぁっ!?」


………………。


「もういないし……しくしくしく。」



▽ 中央公園へ行く
▽ 城壁へ行く
▽ 繁華街へ行く
▽ パン屋ソフトブレッドへ行く



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