「あ、グリフィス師団長。
おかえりなさいませ。
ところでどこへ行ってらしたんです?」
「おう! バレンタインで休暇を過ごしてから、
ヴァンドルディ公国経由で南方の諸国を少し回って来たんだ。
調停文書とか持ってくと、なんだか自分がお偉いさんみたいだぜ?」
(……この人には自分が師団長だという自覚がないのだろうか。)
「そうそう、それだけじゃないぜ。
ちゃんとぐるりと周遊しながら
一流品の楽器も調達してきたぜ。」
「楽器ですか?」
「式典で演奏されるだろ?
だけど音の良い高価な楽器なんて大陸にもそんなに多くはない。
だから近隣諸国を廻って借りてきたってわけだぜ。」
「……よく壊さないでここまで持って来られましたね。」
「ぎくっ。」
「……壊したんですか?」
「い、いや、別にそんなことはないぞ。
馬車の中で一眠りしようとして枕にしたら
バラバラになったなんてことは。」
「……ちゃんと自分で直して下さいね。」
「はうぅぅぅぅぅっ。
秘書、一緒に手伝って。
な☆」
「ウィンクしてもだめです。」
「はうぅぅぅぅぅぅっ。」
★★