Forbidden Palace Library #10 舞え軽やかに


王都シルバニア
城壁

夏のゆるやかな日差しが、城壁の白い輝きをより際だたせる。
日光の直接反射を防ぐために表面加工されているものの、
やはりその眩しさを完全に防ぐことは出来ないようだ。

だがその目映さは、色彩的なものだけではない。
先の大戦を守り抜いた、偉大な城壁への信頼の光なのかもしれない。

城壁の側で、一人の赤毛の男性が何やら荷物を整理している。



「あ、グリフィス師団長。
 おかえりなさいませ。
 ところでどこへ行ってらしたんです?」

ベル 「おう! バレンタインで休暇を過ごしてから、
 ヴァンドルディ公国経由で南方の諸国を少し回って来たんだ。
 調停文書とか持ってくと、なんだか自分がお偉いさんみたいだぜ?」

(……この人には自分が師団長だという自覚がないのだろうか。)

ベル 「そうそう、それだけじゃないぜ。
 ちゃんとぐるりと周遊しながら
 一流品の楽器も調達してきたぜ。」

「楽器ですか?」

ベル 「式典で演奏されるだろ?
 だけど音の良い高価な楽器なんて大陸にもそんなに多くはない。
 だから近隣諸国を廻って借りてきたってわけだぜ。」

「……よく壊さないでここまで持って来られましたね。」

ベル 「ぎくっ。」

「……壊したんですか?」

ベル 「い、いや、別にそんなことはないぞ。
 馬車の中で一眠りしようとして枕にしたら
 バラバラになったなんてことは。」

「……ちゃんと自分で直して下さいね。」

ベル 「はうぅぅぅぅぅっ。
 秘書、一緒に手伝って。
 な☆」

「ウィンクしてもだめです。」

ベル 「はうぅぅぅぅぅぅっ。」



▽ 中央公園へ行く
▽ 繁華街へ行く
▽ 住宅街へ行く
▽ パン屋ソフトブレッドへ行く

★★



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