Forbidden Palace Library #10 舞え軽やかに


王都シルバニア
繁華街

お祭りが近いとあって、街は普段よりも多くの人で溢れている。
本来なら街路樹の前後2メートル以内に出店が規制されているはずの露店も、
この時期ばかりは多少越えていてもお咎めはないようだ。

それもそのはず。
本来なら監視する側の王立軍の兵士達も、お祭りに浮かれているのだから。

この人混みは当分止みそうにない。



「あれ、ジュリアスさん。」

ジュリアス 「だからユリウスだってば。」

「用事があるとかで、
 すぐに王都を離れなきゃいけないんじゃ
 なかったんですか?」

ジュリアス 「ああ、そうなんだけどな。
 ちとジジイから陛下が行方不明とかいう話聞いちまってな。
 仕方ねぇから捜索だけ手伝ってんだ。」

「親、もとい祖父孝行なんですね。」

ジュリアス 「おい、秘書。勘違いするなよ。
 俺はあのジジイの為に捜索手伝ってるんじゃないぞ。
 あくまで陛下が心配だからしてるだけだ。」

「まぁ、いつもみたく、
 そのままどこかで寝てるだけだと
 思うんですけど……。」

ジュリアス 「? レミィ陛下はそんなによく寝てるのか?」

「ええ。どうして今更そんなこと聞くんです?」

ジュリアス 「……おかしいな。
 王家に代々遺伝していた睡眠病は
 先代で既に完治しているはずなんだがな。」

「え?」

ジュリアス 「いや、なんでもない。こっちの話だ。
 あ、そうだ、コペルニクスだったな。
 さっき城壁の方に歩いていったのを見かけたぞ。」

「え、本当ですか?」

ジュリアス 「ああ。急げば追いつくかもしれないな。」

「あ、ありがとうございます!」



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