「アークライト師団長、
そういえばいつも緑色の鎧や服を着ていますけど、
何か理由でもあるんですか?」
「うん。単に緑色が好きなんだ。
僕も僕の父親も祖父もそのまた祖父も、
みんな緑色が好きだったみたい。」
「どうしてまた?」
「迷彩色。」
「え?」
「これなら間違って木の上で迷子になっていても不自然じゃないでしょ?」
「……木の上で迷子になる時点で十分に不自然です。」
「じゃあ屋根の上で迷子になっていた方がいい?」
「……なんで高い所ばかりなんです?」
「さぁ、それが僕にもさっぱり。」
「…………。」
「あ、屋根の上なら屋根の色に合わせて
鎧を毎回着替えるのはどうかな?
うん、なかなかの名案かも。」
「いえ、ですからそういう問題ではなく……。」
「塗料を持ち歩いて屋根の色を変えていく方がいいかな?」
「あのー、それもまた問題点が何か違う気が。
そもそも迷わなければいいだけの話だと
思うんですが……。」
「うん、それが一番難しい問題だね。
どうすれば迷わないで歩けるんだろう。
さっぱり理解できないや。」
「ってアークライト師団長っ!
だからどこを歩いているんですかっ!?
ベランダの柵の上なんて歩いてたら危険ですってばぁっ!」
★★