「おじーちゃん、どうしたの?
柄にもなく花束なんか買っちゃって?
その花、ミルククッキーの香りでもするの?」
「いやなに。もうすぐイーディスの三回忌だと思ってな。」
「そっか……もうあれから3年になるんだ。
ねぇおじーちゃん、
やっぱりおばーちゃんがいないと寂しい?」
「うむ。そりゃぁな。
だが考えようによっては、大戦前の平和な時に目を閉じることができて
ある意味幸せだったのかもしれん。」
「そうなの?」
「少なくとも、世界を憂う必要はないじゃろうて。」
「そっか……おじーちゃん、
おばーちゃんの悲しい顔だけは見たくないって
いつも言っていたもんね。」
「うむ。」
「ところで、どうやっておばーちゃんを口説いたのー?」
「むぅ……どうでもいいではないか。」
「えー、知りたい知りたいー☆」
「……。
『俺のために毎日ミルククッキーを作ってくれ』と
言った記憶があるな。」
「え、ちょっとおじーちゃーん、
一体どういうシチュエーションになったら
そういう言葉がでてくるわけー?」
「………………。」
「何遠い目してるのよ、おじーちゃん。」
「いや、ちょっと昔をな。」
「そんなに昔からミルククッキーが好きだったの?」
「………………。」
★★★