「いらっしゃーいまーせー☆」
「………………。」
「ご注文は何に致しましょうか?」
「何故ここにいる、ジュリアス。」
「やだぁ、俺とお前の仲じゃなーい☆」
「……やめろ、気色悪い。ましてや裏声など使うな。」
(やっぱりそういう仲なのねっ!!!
不潔よっ!
だめよ、そんなのっ!!!)
「で、何しに来た。」
「いや、用はない。」
「……帰れ。」
「おー、そうだそうだ、お茶を飲みに来たんだ。」
「あたかも今思いつきましたとばかりに
とって付けて言うな。
だいたいここは喫茶店じゃないぞ。」
「……あ、いま紅茶入れて来ますね。少々お待ちを。」
「いや、こいつには特に構わなくていいぞ。」
「砂糖多めでよろしく。」
「……アリスさんの手間を煩わすな。」
「紅茶の出涸らし飲んどけってことか?」
「むしろ葉っぱだけ噛んでろ。口の中で紅茶になるぞ。」
「あー、
紅茶のクッキーってのもあることだし、
食えないこともないかなぁ。」
「そんなこと真剣に悩まないでくださいよ……。」
「ジュリアス、だいたいお前
何か用事があるとかで、
今朝早くに出掛けたのではなかったか?」
「なに、南緯47度市は逃げやしないさ。
むしろ俺がわざわざ行くよりも、
47°市がこっちに来いって感じだな。」
「なんか無茶言ってるし……。
だいたい南緯47度市がその場所から動いたら、
もう南緯47度市じゃないじゃないですか。」
「南緯47度直下に位置するが故に、
大陸で唯一、数字から始まる名前を持つ街、か。
この国で4番目に大きな都市でもあるがな。」
「あれ、3番目は?」
「ロンドンデイル市だ。
学校の地理の授業で習わなかったか?」
「そういわれればそんな気も……。」
「そういうお前も地理の時間はよく早弁してたよな。」
「知ってるか?
授業中のクッキーほどうまいものはないんだぞ?
あ、もちろんチョコチップクッキーな。」
「そんなこと力説されても……。」
「そういうレナードはよく授業中に女の子ナンパしてたよな。」
「え、そうなんですか?」
「…………ジュリアス。」
「なんだ、相棒?」
「ここでは絶・対・にその話はするな。いいな?」
「俺にウソを付けと?」
「黙れと言っている。」
「……口留め料は高いぞ?なあ、秘書君。」
「え、そこで私に振るんですか?」
「そうだな、
口止め料を払わないと言うので在れば、
お前が初等学校の運動祭で……。」
「…………………………。」
「レ、レナード将軍?」
「やべっ、
まだ根にもってたのか!!
じゃ、またなっ!」
「待てっ、ジュリアス!!!」
「……あーあ、二人とも行っちゃった。」
「紅茶お持ちしました……。
あら?
レナードさんとお友達の方は?」
「えーと……鬼ごっこ?」
(!!!
負けない、負けないわ!!!
男同士だなんて、絶対に不潔よ!)
「あ、あのー、アリスさん? もしもし?」
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