Forbidden Palace Library #10 舞え軽やかに


王都シルバニア
繁華街

お祭りが近いとあって、街は普段よりも多くの人で溢れている。
本来なら街路樹の前後2メートル以内に出店が規制されているはずの露店も、
この時期ばかりは多少越えていてもお咎めはないようだ。

それもそのはず。
本来なら監視する側の王立軍の兵士達も、お祭りに浮かれているのだから。

昼時が近づいたためだろうか、朝よりもいっそう混雑してきた感がある。



「……ユリア師団長。」

ユリア 「ん?なぁに、秘書ちゃん?」

「シルバニアが独立するきっかけになった
 当時のブランドブレイ国王の死去って、
 そんなに未曾有の事態だったんですか?」

ユリア 「表向きは心臓発作による急死ということになってるけど。
 ……ここだけの話ね、
 どうやら本当は暗殺だったらしいの。」

「え、暗殺っ!?」

ユリア 「しっ!声がでかいわよ、秘書ちゃん。」

「あ、は、はい。ごめんなさい。」

ユリア 「……きちんとした証拠があるわけじゃないんだけど、
 二次遷都計画委員会の遺したメモの中に、
 そんな事を仄めかす一節がでてくるのよ。」

「でも暗殺なんて……一体誰が?」

ユリア 「わからない。
 もう全ては歴史に埋もれちゃってるから。
 ただ、メモには『右腕を大怪我した』男が目撃されたと。」

「右腕を大怪我、ですか。」

ユリア 「ただ一言、それだけ。
 口伝を信じれば、薄紫色の影を目撃したという話もあるけれど……。
 本当のところはどうなのかしらねー。」

(薄紫色の影……なんだか意味深だなぁ。)


▽ 中央公園へ行く
▽ 城壁へ行く
▽ 住宅街へ行く
▽ パン屋ソフトブレッドへ行く

★★



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