Forbidden Palace Library #10 舞え軽やかに


王都シルバニア
住宅街
パン屋ソフトブレッド

昼食時を過ぎたからだろうか、
さっきまでは時折行き交う人々の足音と、台所から洩れてくる軽快な料理の音だけで満たされていたのが、
いつの間にか子供達の小さな足が路地を駆け回る音と、陽気にはしゃぐ声に取って代わられている。

昼過ぎの住宅街は、子供達にとって恰好の遊び場のようだ。



レミィ 「くー……むにゃむにゃ、はなまるぅ。」

デニス 「ねぇ、お姉ちゃん、
 女王陛下がカウンターに
 はなまる描いてるよー。」

レミィ 「はなまるぅ、ですわ。むにゃむにゃ。」

アリス 「あらあら。
 デニス、何か紙か布のような描けるものを
 探してきて、女王陛下に差し上げてちょうだい。」

デニス 「はーい。」


からんからん

アリス 「いらっしゃ……。」

コペルニクス 「!」

アリス 「!」

コペルニクス 「…………。」

アリス 「…………。」

コペルニクス 「……ここに、住んでいたのか。
 …………。
 元気か、アリス嬢?」

アリス 「あ、はい。お陰様で。」

コペルニクス 「そうか、それはよかった。」

デニス 「あれ、お姉ちゃん知り合い?」

アリス 「ええ。ちょっとね。」

レミィ 「はなまるぅ。」

コペルニクス 「!
 レミィ陛下。
 何故このような所に。」

レミィ 「むにゃ……。
 あら、コペルニクスさん。
 いい布お持ちですわねぇ。」

コペルニクス 「布?
 ああ、俺様の華麗なる高枝切りバサミに結った国旗のことか。
 なかなかよいだろう。ちゃきーん。」

レミィ 「はなまるぅ。」


かきかきかきかき

コペルニクス 「お、これは。女王陛下直々のサインとはかたじけない。」


からんからん

「あ!
 コペルニクス副師団長!
 それにレミィ陛下、何やってるんですか!」

レミィ 「はなまるぅ、描いて差し上げますわぁ。」

「レミィ陛下が国旗にはなまる描いてどうするんですかー!」

レミィ 「はなまるぅ、ですわぁ。」

コペルニクス 「ちゃきーん。
 これで女王陛下のお墨もついた。
 あとはただ舞うのみ!」


からんからん

「ああっ! ちょっと待ってくださいよー!!」



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▽ 繁華街へ行く
▽ 住宅街へ行く



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