Forbidden Palace Library #10 舞え軽やかに


王都シルバニア
繁華街

お祭りが近いとあって、街は普段よりも多くの人で溢れている。
本来なら街路樹の前後2メートル以内に出店が規制されているはずの露店も、
この時期ばかりは多少越えていてもお咎めはないようだ。

それもそのはず。
本来なら監視する側の王立軍の兵士達も、お祭りに浮かれているのだから。

その混雑の中、大通りの真ん中に大きな紙袋が二つ。



「……紙袋が、二つ?」

マルス 「…………。」

コペルニクス 「…………。」

「…………。
 マルス前師団長、
 コペルニクス副師団長。」

マルス 「んんん!」

コペルニクス 「!
 ちゃきーん。
 貴様、何故見破った。」

「紙袋から高枝切りバサミが突き出ていればバレバレです。」

マルス 「んんん、マルス君なかなかいい案だと思ったんだけどなぁ。」

「あの、お願いですから余計な事吹き込まないでください……。
 とにかく、コペルニクス副師団長!
 大人しく旗を王立劇団まで届けてください!」

コペルニクス 「ちゃきーん。断る。
 このせっかくの俺様の華麗なる高枝切りバサミ披露の機会を
 逃すわけにはゆかぬ!」

マルス 「んんん、コペ君、早く逃げて。」

コペルニクス 「ちゃきーん。」

「って、逃がしてどうするんですか!」

コペルニクス 「マルス総統、後は頼む。」


たったったっ

マルス 「んんん。了解。」

「ええっ!? なんでマルス前師団長が協力してるんですか!?」

マルス 「んんん。5リルで雇われてるの。」

「……わかりました、
 じゃあこっちは10リル払いますから、
 コペルニクス副師団長捕まえるの手伝ってくださいっ!」

マルス 「んんん、交渉成立だね! まかせてっ!」

「え、本当にいいんですか?」

マルス 「んんん。
 10リルだよ、10リル。
 日本円換算で500円もの大金だよ。」

「いや、換算すると余計少ない気がするんですが……。」

マルス 「んんん。
 これだけあれば明日のご飯には困らないね!
 早速追うよ、秘書君!」


たったったっ

「な、なんて現金な……。」



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