Forbidden Palace Library #10 舞え軽やかに


王都シルバニア
住宅街

本来なら閑静なこの住宅街も、いつもより通行人が多く、
賑やかな声があちこちから聞こえてくる。

昼食の時間を過ぎて、賑わいはより一層大きさを増してきた様だ。
その喧噪は、日が沈むまで止みそうにもない。

年に一度のイベント、戴冠記念式典は一週間後に開催される。



エリーゼ 「ロウクス君っ!」

アシスト 「お、エリーゼ。おかえり。」

エリーゼ 「た、ただいま……。」

アシスト 「無事だったか?」

エリーゼ 「ええ。ロウクス君は?」

アシスト 「ああ。もちろんいつも通りだ。」

「相変わらず、実験のことばかり考えてたんですね。」

アシスト 「何か言ったか、秘書?」

「いいえ、別に。」

エリーゼ 「……実験のことばかり?」

アシスト 「いや、それが案外そうでもなくて。」

「……明日雨かな。」

アシスト 「また何か言ったか、秘書?」

「いいえ、別に。」

エリーゼ 「どうしたの、ロウクス君らしくないじゃない。」

アシスト 「ああ。なんとなく落ち着かなくてさ。
 前にブランドブレイに出張したときと何が違うのか
 色々と考えてみたんだけどよ……。」

エリーゼ 「?」

アシスト 「前の時はエリーゼと一緒だったけど、
 今回は単独行動だったからかなと思うんだ。
 やっぱり、側にいてくれないと安心できないしな。」

エリーゼ 「えっ……。」

アシスト 「ん、どした? 顔真っ赤だぞ?」

エリーゼ 「べ、別に、なんでもありませんっ!」

アシスト 「そうか?」

エリーゼ 「…………でも。」

アシスト 「ん?」

エリーゼ 「ちょっとだけ、嬉しいです。」

アシスト 「ん、明日の雨(予定)がか?」

エリーゼ 「蹴りぃぃぃぃぃっ!!!」


どごっっっっ


アシスト 「ぐはぁっ!」

エリーゼ 「違いますっ!!!」

アシスト 「いつものより効いた……きゅうっ。」

エリーゼ 「んもぅっ!知りませんっ!」

(……あ、そうか。
 エリーゼ師団長の見せる時々遠い目って、
 アシスト師団長のそれとそっくりなんだ。)

(二人とも、過去になにかあったのかな……?)



▽ 中央公園へ行く
▽ 城壁へ行く
▽ 繁華街へ行く
▽ パン屋ソフトブレッドへ行く

★★



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